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ミステリの祭典

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天国か地獄か
なまけスパイ

作家 ジョイス・ポーター
出版日1973年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 クリスティ再読
(2018/06/03 09:56登録)
スパイ小説のパロディみたいな艶笑喜劇である。「なまけスパイ」だけあって、ヤル気ゼロなのが、何かいい。男の娘になってビアンのキャットファイトにおろおろしたりするんだよ。
旧ソビエトで、「さまざまなお宗旨が雑居する秘密を抱えた集団農場」という舞台設定など、ドストエフスキー風の重喜劇なイロがついている。「イギリスの種馬」がスコプツィ教徒に去勢を誘われるとか、さすがドーヴァー警部の作家だけあるなぁ。それでもほぼ軍事的な作戦行動まであって、ハードな部分はハード。その上「女性の性欲」をあっけらかんと肯定してそれを軸に話が回っていくあたり、1969年の小説とはちょっと思えないくらいに過激である。
ある意味さすが、と思わせるが、話はわりととっちらかっている。振り回されるエディくんも気の毒に。

でスパイ小説な「裏切られた夜」と比較して...だけど、まあ明白あっちはドーヴァーさんの手ではないが、執筆が娘、というのは否定できない。「天国か地獄か」も当然「女性視点」は強く出ている。まあこっちは「男性に対する(王子様な)幻想」みたいなものが皆無というのが、特色なんだけどね。どうだろうか...

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