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ミステリの祭典

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ジェリーフィッシュは凍らない
マリア・ソールズベリー&九条漣

作家 市川憂人
出版日2016年10月
平均点6.48点
書評数21人

No.1 7点 人並由真
(2016/11/30 20:12登録)
(ネタバレなし)
 飛行船内での連続殺人という特殊な舞台装置、明快な2つの謎の提示(フーダニットとハウダニット)、それぞれが鮮烈。そしてそんな趣向が基幹の大トリックと、さらにその大技を支えるこもごもの伏線やロジック、中小トリックと融合した世評通りの快作。それと、なんでこの物語が過去時制なのかのイクスキューズがちゃんと成立し、さらにそこからホワットダニット的なもうひとつの真実が見えてくるのもいい。

 とはいえ作者は、当然<あの先行作(某・国内新本格作品)>は読んだ上で、本作を書いたんだろうなあ。いや、ちゃんと別ものになっているんだけれど、その上で言いたいことが、ムニャムニャ…。まあ乱歩の言う通り、既存のもののバリエーションは確実にひとつの新たな創意だけどね。

 ちなみに今回の鮎川賞は選考者のコメントをざっと読むと(しっかり読まないのは、こういう場で、今後世に出る可能性もある応募作のネタバレをついうっかり? しちゃう作家先生も少なくないから)本作と競い合った作品のなかにも面白そうなものがいくつかある感じ。歯応えのある作品は推敲を重ねて、明利英司の『夕暮れ密室』みたいに、いつか刊行してほしいものですね。

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