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ミステリの祭典

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ジェリーフィッシュは凍らない
マリア・ソールズベリー&九条漣

作家 市川憂人
出版日2016年10月
平均点6.68点
書評数22人

No.2 7点 メルカトル
(2016/12/30 21:50登録)
『そして誰もいなくなった』を意識した作品としては出来はいいほうだと思います。構成はしっかりしているものの、なぜか全体的にすっきりしない感じがします。飛行船の中で起こる殺人劇と、それから遅れること数か月の捜査が交互に描かれているプロット自体は悪くないのですけどね。
一つとても気になる点もあります。検死に関することなんですが、ややあっさりし過ぎているような。まあ、あまり突っ込むと自らネタバレしてしまう可能性が高いですから仕方ないですかね。
トリックはそれほど大胆なものではなく、手品のタネを明かされた時のがっかり感が漂います。ただし、それをうまく隠ぺいしている手腕は確かなものがあると思います。
エピローグがそのまま解決編になっている辺り、センスを感じますね。

No.1 7点 人並由真
(2016/11/30 20:12登録)
(ネタバレなし)
 飛行船内での連続殺人という特殊な舞台装置、明快な2つの謎の提示(フーダニットとハウダニット)、それぞれが鮮烈。そしてそんな趣向が基幹の大トリックと、さらにその大技を支えるこもごもの伏線やロジック、中小トリックと融合した世評通りの快作。それと、なんでこの物語が過去時制なのかのイクスキューズがちゃんと成立し、さらにそこからホワットダニット的なもうひとつの真実が見えてくるのもいい。

 とはいえ作者は、当然<あの先行作(某・国内新本格作品)>は読んだ上で、本作を書いたんだろうなあ。いや、ちゃんと別ものになっているんだけれど、その上で言いたいことが、ムニャムニャ…。まあ乱歩の言う通り、既存のもののバリエーションは確実にひとつの新たな創意だけどね。

 ちなみに今回の鮎川賞は選考者のコメントをざっと読むと(しっかり読まないのは、こういう場で、今後世に出る可能性もある応募作のネタバレをついうっかり? しちゃう作家先生も少なくないから)本作と競い合った作品のなかにも面白そうなものがいくつかある感じ。歯応えのある作品は推敲を重ねて、明利英司の『夕暮れ密室』みたいに、いつか刊行してほしいものですね。

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