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ミステリの祭典

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白く重い血

作家 佐野洋
出版日1976年01月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 斎藤警部
(2016/09/12 09:57登録)
こりゃ隠れた快作。ジャンルはサスペンス。現在(’70年代初頭)と過去(終戦後)のカットバック(章立て等に工夫あり)で進む真相追及は「ゼロの証明」だったか「焦点の人間」だったかそのへんをあからさまに連想させる、が、、清張が凄みで圧倒すれば、或いは森誠が思い込みの熱さで驀進すれば『そこ一点突破』でも充分読ませるわけだが、しかしそういった重々しい武器を敢えて持たない佐野チンの場合は『そこ』に更に何かかぶせて来るはずだ。。とカラフルな期待が増殖するってもんだ。。 嗚呼、違和感最高!! 二つの時代が重なる最終章、ラス前シークエンスの摩訶不思議な一対一対一(三人)の対話構造!!! 思った通りに、しかし思わぬ方向からの意外性かぶせにクラクラしているうち最後はちょっとした人情の深淵を覗かせて〆。

登場人物の伏線性とか、とっ散らかったままで終わる要素も結構多いから本格主義の読者なら最後ちょっとがっくり来るかも知れん。しかしこれは実に良く出来たサスペンス小説。やっぱこういう、形式に企画性の強い、構成の妙で勝負みたいなのは大の得意だね、佐野チンは。

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