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ミステリの祭典

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燃える水柱

作家 陳舜臣
出版日1978年12月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 nukkam
(2024/07/25 00:46登録)
(ネタバレなしです) 1978年発表の本格派推理小説ですが、ある人物の語りで真相の大半が判明するのですけど具体的な証拠がほとんどなくてとりとめのない謎解きにしか感じられませんでした。1967年(昭和42年)の豪雨の翌日、戦前の貿易で華僑社会で名を成した男が自宅の庭で変死しているのを発見されます。29年前の1938年(昭和13年)の山津波の後で発見された、水害の犠牲でない死体の事件と合わせて主人公の推理小説家が調べていきますが2つの事件を結ぶ線が非常に細く、強引な捜査にしか感じられません。読者が推理する余地もありません。しかし被害者の過去に日中戦争中の影が浮かび上がる展開は印象的で、そこには社会派推理小説要素を感じます。タイトルに使われている水柱は冒頭と締めくくりで語られるのみで、読解力の乏しい私には作者の意図がわかりませんでした。「燃える」ことの意味もわからずもやもや感が残ります。

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