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ミステリの祭典

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刑事くずれ/最後の依頼人
ミッチ・トビン

作家 タッカー・コウ
出版日1982年10月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 クリスティ再読
(2016/08/07 23:07登録)
このシリーズの最終作に当たる。けど...ホントにイキナリ断ち切ったような終わり方をして、シリーズ最終作らしい後日譚とかまったくない。この作品でいよいよ、ミッチが失職する出来事の元凶である元愛人のリンダが登場する。この女にハマってミッチは相棒の単独行を許し、ために相棒が殉職するという不名誉を引き起こした原因なんだけど、それほどの因縁の相手であるにもかかわらず、冒頭にちょっと登場しただけで、以降全然登場しない....あれれ、ってうちに最後のページになってしまう。異例な狙いの多い本シリーズらしさの最大のものはやはりこのことだろうね。
でまあ、この原因を推測するとなると、どうやら本シリーズ打ち切りの原因にも関わるようである。というのも、作者ウェストレイクが一貫して本シリーズの献辞の対象としている妻と、離婚したようなのだ。とすると...おそらくその妻とリンダとが重ね合わせになっているんだろうね。というわけで、ほんとうに献辞のとおり「やあ、さようなら」なんである。
まあ本作は、事件がいろいろと並行して進行して動き、ためにミッチが複数の相手に複雑な駆け引きを行うので、やはり本シリーズ他作品とは違って、一番ハードボイルドっぽい。それでも被害者の身元推定とか、結構推理力抜群の名探偵である。キャラの陰影もシリーズ全体の中でも深いので、ブチッとイキナリ終わるようなラストが残念な感じになって本当にもったいない。
結論:本シリーズは、ピークは2作目の「ヒッピー殺し」。やはり前半の方がサエてるね。だんだんミッチが魅力的にはなるんだけど、狙いすぎて自分の首を絞めてるような印象だ。難しいなぁ。

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