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ミステリの祭典

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刑事くずれ/牡羊座の凶運
ミッチ・トビン

作家 タッカー・コウ
出版日1982年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 クリスティ再読
(2016/08/03 22:05登録)
本格モノ設定をリアルに、かつ60年代末風俗にうまくアドプトした本シリーズだが、評者は最初の3冊を前に読んで残りを読んでなかったよ。いい機会なので残り2冊も読むことにする。
本作実は「占星術殺人事件」である。別にアゾートは作らないが、本作のメタなネタはたぶん、占星術みたいなオカルトがリアルな事件の手掛かりになったり、動機になったりするというのを狙ったのではなかろうか(島荘だと煙幕以外の役割ないもんね)。一応ちゃんとリアルな範囲で、占星術が犯人発覚の手掛かりになっているし、(3つ目の事件の)動機にもなっている。ただし、それほど派手なものではないので、期待するとちょっと肩透かしか。
今回の背景はゲイコミュニティ。描写は差別的ではないし、ファッションとかインテリアの趣味がきっちり描けているので、リアリティがある。最初の被害者がガチのオネエだ。で、表面の関係から一歩踏み込んだら、それこそ人物相姦図になって収拾つかなくなるあたり、まあ結構らしく書けているな。で、このコミュニティの犯人以外の人々が、主人公のミッチと一緒に最後に犯人を罠にかけようとするのが、終盤結構サスペンスあり。警察官によるゲイいじめも背景に絡んでいるが、まあエンタメなので、ストーンウォール反乱のあとすぐあたりの状況とかはあまり窺われない。作者はたぶん単純にサブカルが好きなんだろうなぁ...
まだから割とイイんだけど、「ヒッピー殺し」と比較するとやはり落ちる。しかたないか。

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