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ミステリの祭典

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おせっかいな潮
ウィギンズじいさん

作家 E・S・ガードナー
出版日1961年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2016/07/30 05:36登録)
(ネタバレなしです) 1941年発表の本書は探偵トリオによる謎解きという設定がこの作者らしいのですが、デュリエ地方検事とその妻ミルドレッド、そしてウィギンズじいさんという組み合わせの中でメイスンシリーズのポール・ドレイク的な存在のウィギンズじいさんに名探偵役を割り振っているのが珍しいですね。なかなか面白そうなキャラクターですが本書と「けむるランプ」(1943年)の2作品にしか登場しなかったようです。26章構成になっていますが12章までは章が変わるごとに登場人物が交代し、それぞれが駆け引きしたり何かを企んだり疑惑の行動をとるというややまとまりの悪い展開で、13章からようやくトリオによる探偵活動が活発になってばらばらの物語が少しずつ一つの流れに収束されていきます。謎解きプロットは遺産相続の問題、アリバイ崩し、手紙の謎など盛り沢山で複雑なのでじっくり読むことを勧めます。終盤は「おかま事件」で強烈なユーモアをぶつけて読者をゆさぶり、そこから一気に怒涛のクライマックスへとなだれ込みます。

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