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ミステリの祭典

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犬は書店で謎を解く

作家 牧野修
出版日2016年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2016/07/28 22:27登録)
作品とは関係ないですが、名探偵ジャパンさんが復活されて密かに喜んでいるメルカトルです。

さて本作、冒頭でいきなり飼い犬とその主人の中身が入れ替わってしまう。そして悪かった性格が一変し、すこぶる素直で真面目に変身してしまう主人公の萩兎(中身は犬)は書店に雇われ、犬のハギト(中身は人間)とともに謎を解いていく。
タイトルから受ける印象は日常の謎以外何物でもないが、違った。事件は放火、盗撮、誘拐など多岐に亘るが、その割にとても薄味である。一応ミステリとして形にはなっているが、どこか物足りないというか、食い足りないのである。
一つなるほどと思ったのは、忠犬が人間になるとこんな感じなのか、確かに犬は人間の持つ醜さとは無縁なので、無垢で勘ぐることを知らない人間になるんだなあと。
この手の作品は最後にはまた入れ替わりが起こり、元に戻るのがお約束だが、本作はその方法もストーリーの中で自然に成され、違和感がない。後味も悪くはなかったが、まあ毒にも薬にもならない感じだったのがやや心残りだった。

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