home

ミステリの祭典

login
夏のロケット

作家 川端裕人
出版日1998年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 tider-tiger
(2016/07/27 00:32登録)
高校時代に天文学部に所属していた仲間たちがおっさんになってから、かつての夢であったロケット製造に乗り出すというとんでもない話。
サントリーミステリー大賞で優秀賞を取った作品らしいが、私にはどこがミステリなのかさっぱりわからなかった。でも、ミステリの賞を取っているのだからミステリなんでしょう。過激派のミサイル事件とやらが絡んでくるし。主人公らのやっていることは確実に法に触れるのでクライムに分類すべき? まあライトな青春ミステリとでもしておきますか。とても楽しい作品で、ロケットのことなどなにもわからないだけに、こいつら本当にやっちまうんじゃなかろうかと期待してしまう。
後日、主人公たちは逮捕されてしまうのだが、不起訴となった理由が笑えた。
文章はいまいち。ロケットに関する教科書的な説明過多。ぬるいところ、素人臭いところ満載だったが、なんだか嫌いになれない作品。同じロケットなら私は下町よりもこっちの方が好きです。ロケットの夏、ニッポンの夏とでもいいましょうか。
ただ、レイ・ブラッドベリの火星年代記をかなりひどい形でネタバレしている。動機は愛であろうが、これはいけない。舞城王太郎が『煙か土か食い物』でチャンドラーを同じようにネタバレしていたのは許せたのだが。舞城はやり方が巧妙だったからかもしれない。
ミステリとしては4点、というかミステリ要素はほとんどなし。小説としても5、6点(面白いけど小説技術的には難あり)。で、私の採点は中間を取らずになぜか6点となるのであった。

1レコード表示中です 書評