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ミステリの祭典

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守銭奴の遺産
ジョン・リングローズ

作家 イーデン・フィルポッツ
出版日2016年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2017/03/21 22:12登録)
「別冊宝石」に『密室の守銭奴』のタイトルで収録された抄訳(1953年3月)を読んだことはあるのですが、こんなストーリーだったっけ…
その旧題の密室トリック、巻末解説では、「この作の弱点ともいえる」とし、密室ミステリ研究科ロバート・エイディが酷評していることも述べていますが、原理的にはそんなにひどいとは思いません。最近本格黄金時代の某巨匠1930年代後半の大作を読んだ時にも、本作のトリックとの類似性を感じたものです。その某作品(密室ではない)では蓋然性と伏線に充分気を配っていたのに対し、本作では細部がおろそかで図版もなく説明不足のため、ほとんど実現不可能に思えてしまうのでしょう。
一方犯人の人格造形と動機は、非常に印象的です。ただ犯人の二面性ということについては、チャンドラーの『プレイバック』の名セリフだって、そう言えるのではないかとも思ってしまうのですが。

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