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ミステリの祭典

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たまらなくグッドバイ
文庫改題版『サブマリンによろしく』

作家 大津光央
出版日2016年03月
平均点3.00点
書評数1人

No.1 3点 人並由真
(2016/06/28 14:49登録)
(ネタバレなし)
 下手投げサブマリンタイプの投手として活躍しながらも、八百長疑惑のなかで逆境に転落。1988年に34歳の若さで他界したプロ野球選手K・M。彼と懇意だった作家・芹澤真一郎の遺志を継ぐ立場となった34歳の文筆家「あたし」は、21世紀の現在、K・Mの生前の軌跡を改めて追うが…。

 2016年第14回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作。
 時勢のザッピング、視点の転換と多様な交錯…正直言って非常に読みづらい。メモを取りながら読み進めつつも、何度も読了を断念しかけた。こんなことはこの数年、数百冊のミステリを読んでいてそうあることではない。

 それでもこのややこしい構造や仕様には何らかのミステリ的な仕掛けがあるんだろうと思いきや、この叙述形式そのものには、その手のギミックは希薄で終わる。

 なお第4章で唐突に国産作家Yとかが大昔から使っていたあの手が使われるが、散発的でここでこの小技を繰り出す必然も意義も見えない。大筋の組み立てと最後に明らかになる意外な人間関係の真相くらいはさすがに当初から構想があったとは思うが、かなりの部分がノープランで書かれたんじゃないかという印象すら受けた。 

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