home

ミステリの祭典

login
ささやかで大きな嘘

作家 リアーン・モリアーティ
出版日2016年04月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 HORNET
(2016/06/26 17:23登録)
 海辺の公立幼稚園、ピリウィー公立幼稚園。昨今よく耳にする、保護者、ママ友たちのグループ化、パワーバランスの取り合いはここも例に漏れずといったところ。そんな中で、毎年恒例の「トリビアクイズ保護者懇親会」が行われる。テーマに沿った仮装で出席し、トリビアクイズ大会が催されるという懇親会なのだが、その会において悲劇は起きた―
 冒頭に問題の「トリビアクイズ保護者会」の混乱の様子が示されるが、「誰が死んだのか」は明示されず、次の章から「六か月前」に遡って物語が展開されていく。ジェーンの息子のいじめ疑惑は一向に晴れない。別れた夫とその妻の子どもが同じ幼稚園に通っているマデリーン、息子にいじめの嫌疑がかけられたジェーン、嫌疑をかけている側の高IQ児のママ、夫の暴力におびえる裕福な銀行家の妻セレスト・・・火種になりそうな出来事は盛りだくさん。いったい誰が殺され、誰が犯人なのか?
 被害者や犯人、事件の内容を予想することを別にしても、幼稚園保護者の諸事情を読んでいるだけでも十分面白い。どこにでもありそう(?かな?)な保護者同士の確執を描きながら、事件に結び付く内容がちりばめられている手法もなかなかよかった。また、話の性質からドロドロした救いようのない結末も考えていたのだが、意外に読後感の良い結末だったことも高評価に結び付いた。

1レコード表示中です 書評