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ミステリの祭典

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グルメ探偵、特別料理を盗む
グルメ探偵シリーズ

作家 ピーター・キング
出版日2006年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2016/06/22 10:58登録)
(ネタバレなしです) ピーター・キング(1922年生まれ)は英国人ですが、ブラジル、フランス、イタリア、米国などを渡り歩いた国際人で現在はフロリダ在住だそうです。作品も脚本、ガイドブック、旅行記など幅広く、何が本業なのかよくわかりませんが1996年発表の本書がミステリーの第1作です(大変な遅咲きデビューですね)。名前を明らかにしない私立探偵を主人公にするという設定がダシール・ハメットのコンチネンタル・オプシリーズやビル・ブロンジーニの名無しの探偵シリーズを連想させますが、本書で描かれているのは過激な暴力でも銃撃戦でもなく麻薬や性犯罪のような汚い犯罪でもありません(殺人はありますが)。私立探偵と言っても料理関係の調査を専門にする「グルメ探偵」です。随所に散りばめられた美味しそうな料理や素材の描写はむしろ洗練さを感じさせます。謎解き伏線は読者が推理するには十分ではないように思いますが珍しい殺人トリックは印象的で、古今の名探偵を意識しながらもどこかピントがはずれている主人公の迷走探偵ぶりがなかなか面白かったです。

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