(2018/08/18 16:45登録)
(ネタバレなしです) 1947年発表のネロ・ウルフシリーズ第10作の本格派推理小説で日本では雑誌「EQ」の72号(1989年11月号)から74号(1990年3月号)の3回に渡って連載されました。「料理長が多すぎる」(1938年)を連想させるタイトル(英語原題は「Too Many Women」)ですが作品同士の関連は全くありません。タイトルはある大会社の社員が轢き逃げ事故で死亡し、それが事故なのか殺人なのか調査を依頼されてアーチーがその会社に潜入することになりますがそこは500人もの女性社員が働いていることに由来します。女性が多く採用されている職場は(例え米国でも)当時は現代よりはるかに少ないと思いますがせっかくの(珍しい)舞台が十分に活用されているとは言い難く、重要な役割を与えられている女性はほんの一握りで容疑者に限定すれば男女ほぼ同数です。ネロ・ウルフをして「わたしの上をいくずるがしこい敵に出くわしたのだ。ずるがしこいか、さもなければめっぽう運のつよいやつにね」と弱音を吐かせるほどの難事件でどう解決するのかわくわくさせるプロットですが、推理ではなくはったりで解決してしまうのが謎解きとしては残念レベル。ウルフと犯人の直接対決さえありません。最終章のアーチーのもてもてぶりは男性読者の私は笑えましたが女性読者からは顰蹙を買うかも。
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