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ミステリの祭典

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市長、お電話です

作家 草上仁
出版日1991年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2016/05/31 18:15登録)
SF系の短編集。いずれも人類が宇宙に飛び出し、様々な異星人たちと普通に交流がある未来世界を背景にした5つの短編が収録されていますが、作品間のつながりはありません。

「国境を越えて」は、大統領特別技術顧問の大科学者が、生まれて初めて他の惑星へ旅行しようと計画するが、膨大な技術知識が異星人に流出するのを恐れた政府が阻止しようとする話。これは風刺が効いているが、落としどころが何となく予想できてしまうかな。
「ポルノグラフィック」は、被子植物の形態をした異星人から、地球人が猥褻なポルノ雑誌をばら撒いているという苦情を受けるが、それらしきものが見当たらない。巧みな伏線による爆笑オチが見事に決まっている。
「転送室の殺人」は、航行中の宇宙船内を舞台にした意外とまともな密室ミステリ。装置の機能説明が充分でないのはアンフェアな感じを受けるものの、ある手掛かりから真相にいたるロジックが明快なSFミステリの佳作。
「豆電球」は、光るエンドウ豆を育てる異星人のもとに、電気エネルギーの代替として利用することを目論む企業がやって来る。これも「ポルノグラフィック」と同じテーマが隠されていて、異星人に対する印象がラストでがらりと変わる。これが編中の個人的ベスト作品。
表題作「市長、お電話です」は、移住用巨大宇宙船(一つの街のようになっている)を舞台に、忘れられてしまった”電話”という音声伝達システムが、硬直した行政を動かすという風刺的でハートウォーミングな話。

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