(2016/05/21 21:33登録)
(ネタバレなしです) 元軍人というプロフィールまで用意して2013年にコーモラン・ストライクシリーズ第1作となる本書でデビューした英国のロバート・ガルブレイス、デビュー直後はそれほど話題にならなかったようですが発売後わずか3ヶ月でその正体が世界的ヒットのファンタジー小説ハリー・ポッターシリーズの作者J・K・ローリング(1965年生まれ)であることが発覚し、本書もあっという間に売れまくりです。私立探偵のコーモラン・ストライクが、自殺したとされるスーパーモデルの兄から自殺のはずがないから調べて欲しいという依頼を受けて調査するプロットです。なかなか大きな進展を見せない地道な捜査描写が続くところはP・D・ジェイムズの「女には向かない職業」(1972年)を連想しました。登場人物描写はジェイムズよりも通俗的なところがありますが、その分感情豊かであり個性を感じさせます。前半はやや冗長な感もありますが後半(第四部10章あたりから)になると謎解きが盛り上がり本格派推理小説としての面白さが加速します。コーモランと秘書のロビン(推理はしませんが非常に優秀)のコンビぶりもいい味出しています。
|