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ミステリの祭典

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神社姫の森
薔薇十字叢書

作家 春日みかげ
出版日2015年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2016/04/26 22:21登録)
いろんな意味でネタバレになるので多くは語れないが、久保竣公の記憶を持つ作家久保竣皇はいったい誰なのか、というテーマでストーリーは進行していく。構成はいたって単純で、本筋は全体の半分ほどしかない。その他は京極堂の蘊蓄が大部分を占め、いささか退屈ではあるが、京極夏彦作品の雰囲気はある程度楽しめる。
前半は鳥口や木場らが本シリーズよりも妙に賢くなっている気がしてやや違和感を覚える。そしていよいよ榎木津の登場でにわかに面白くなるのかと思えばさにあらず、いつもの勢いがいまひとつ感じられず、やや格好悪いのが不満といえば不満。
だが結局拝み屋の憑き物落としと最終章には妙に納得なのであった。
尚、久保竣皇の正体は誰にでもすぐわかってしまうはずだから、そこは期待しないでいただきたい。しかし、本家京極堂シリーズの刊行が絶望的な今、こうした作品でも読んで昔を懐かしむのも悪くはないだろう。

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