10番打者 小説・プロ野球① |
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作家 | 佐野洋 |
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出版日 | 1962年01月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 6点 | 斎藤警部 | |
(2016/04/21 12:19登録) 急映、大毎、太陽ロビンス、金星スターズ、巨人の加倉井に坂崎、後楽園にはアンラッキーネット(!)。。魅惑のアーリーデイズプロ野球用語がポンポン飛び交う中、速やかにクールに展開する戦後ニッポン陰謀物語、の飽くまで一側面、に軸足置いたサスペンス・ファンタジー。 星野組はプロ化を意向するも頓挫、ですって。。 序章 彼との出会い 第一話 不均衡計画 第二話 ウイニング・ボール 第三話 盗まれたサイン. 「桜機関」の「桜氏」(どちらも仮名)なる衆議院議員にして正体不明のフィクサーの下に職を得た「私」は、氏の幅広い暗躍領域の中で『(戦後復興した)日本プロ野球人気を今度こそ定着させる』というミッションのために奔走する。(その真の目的は、果たして。。) 氏と「私」の出逢いを描いた序章と第一話は、社会派に振れ過ぎない政治スリラー的様相でスイスイ進行。(森村誠一だったらどんなに熱く脱線しまくったろうか) かと思うと第二話、出だしのつかみどころの無さは底知れぬ陰謀のようで日常の謎のようで。。急に社会的要素が蒸発してしまったかのような微妙な中弛みを見せつけ、核心はまさか色事絡みかと匂わせ、、 と思うと唐突な感動秘話に向きを変えて締める。。なんだこりゃ? 二話三話と連作が進むに連れ黒幕から主人公(共に十数の歳を取り)へと物語上での存在感が軽くシフトする、かと思いきや。。 第三話ではやにわに謎解き要素が色濃くなるが、最後の最後で急にリアリティの薄いトンデモ陰謀論に転んで終わっているのは。。 週ベ(週刊ベースボール誌)連載時色々あって、ひとまず冗談めかしといて様子見、という事なのかしら? なんて穿った見方をせずにいられませんね。 (まさか、佐野流の『逆トリック』ってやつだったりして) ちょっとバランス悪い連作集だけど、まずまず。 |