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ミステリの祭典

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天使の棲む部屋 問題物件2
問題物件シリーズ

作家 大倉崇裕
出版日2016年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2016/04/29 10:16登録)
不動産販売会社で問題物件のクレーム処理を担当する若宮恵美子は、またもや社長派の幹部から怪しげな物件の調査を押し付けられ、謎めいた殺人事件に巻き込まれる。いつも危機一髪のところに現れるのは、破天荒な名探偵・犬頭光太郎なのだが--------。

「問題物件」シリーズの2作目。「天使の棲む部屋」「水の出る部屋」「鳩の集まる部屋」「終(つい)の部屋」の4つの中編からなる連作ミステリ。
各編とも提示される謎はそこそこ魅力的ですし、真相もそれなりに意外性があり、本格ミステリとしては標準レベルだとは思いますが、”何でもあり”のような規格外の名探偵・犬頭光太郎のキャラクターと”その正体”が個人的には受け入れがたく、読後の印象は微妙です(あくまでも好みの問題ですが)。また、現社長との派閥争いの犠牲者で難病を抱える前社長の御曹司・雅弘の存在があまり機能していないように思えます。
収録作のなかでは、表題作「天使の棲む部屋」を個人的ベストに推します。お屋敷モノ、”死の部屋”テーマという定番の設定ながら、手掛かり・伏線を丁寧に回収しながらの消去法推理が鮮やか。名探偵・犬頭の見せ場シーンが”真相解明後”というのがアレですけど。

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