(2016/04/09 08:20登録)
900冊目の書評。主人公が危機を克服してゆくという意味から、広義の冒険小説として本作をとりあげてみました。あらすじ~『イタリアの山奥に住む飲んだくれで恐妻家のボンボリーニという男が主人公です。前市長が退陣し、ひょんなことから彼は新市長になってしまいます。マキャヴェリの「君主論」を柄にもなく何回も読み、そして「信義と自らの利益とが背反する場合、君主は決して信義を守ってはいけない」という一節を口癖とし、徐々に”ずるがしこい人物”へと変貌してゆきます。不信任の危機に際しては、村人機嫌を取るため、ただでワインをふるまうなどしてその危機を乗り越えます。しかし、過去最大の危機を迎えます。ドイツ軍がサンタ・ヴィットリアのワインを接収するというのです。村人にとって命同様の100万本のワインを彼と村人はどうようにして守るのか?相手はエリート将校、強敵です。』~駄目市長とエリート将校との対決・駆け引きが読みどころです。本作は1969年アンソニー・クイン氏主演で映画化され、ゴールデン・グローブ作品賞を受賞しています。アンソニー・クイン氏の名演技と、ラストでのドイツ将校とのやり取りが何とも言えませんでした。映画はマイベスト10の一本です。
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