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ミステリの祭典

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童話の時代

作家 結城昌治
出版日1970年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2016/03/18 22:42登録)
5編を収録した角川文庫短編集ですが、最後の2編、表題作とその続編『凍った時間』は「優秀な探知能力を内蔵した宇宙衛星が地球を四六時中まわっている」時代(発表された1968年と言えば、アポロ11号が月着陸を果たす前年です)の現実的なスパイ小説です。タイトルの意味は、いわゆる「外套と短剣」的なスパイ時代のことを指しているのですが、皮肉な使われ方がしています。『凍った時間』は、表題作のラスト1段落を受けた作品で、その意味では話が始まる前から結末をネタばらししているとも言えます。
最初の『小指のサリー』は人探しの物語ではあるのですが、ストーリー展開はミステリらしくない、なんとも哀しい結末の作品です。この短編集は実は再読なのですが、最も記憶に残っていたのが『沈む夕日に』の後味の悪いラストでした。逆に『紺の彼方』は全く記憶に残ってなかったのですが、悪くはありません。

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