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ミステリの祭典

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最後に笑った男

作家 ブライアン・フリーマントル
出版日1987年07月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2016/03/10 00:23登録)
CIAとKGBの共同作戦と云えば同作者のFBIとモスクワ民警のコンビ、ダニーロフ&カウリーシリーズを想起させるが本書はそれに先駆ける事12年前に書かれた作品。CIAとFBI、KGBとモスクワ民警といった違いはあるものの、恐らくはダニーロフ&カウリーシリーズの原型となる作品なのかもしれない。

前書きでフリーマントルは本書で書かれた中央アフリカに作られた民営企業数社による通信衛星打ち上げ会社は実在すると述べている。2016年現在も存在するかは不明だが、宇宙を制する者が世界を制するとしてスターウォーズに目を向けていた世界はこんな仇花をも生み出していたことに改めて驚愕する。
国対国ではなくテロ対国家という敵の構図が変化した現代、再びこのような形で争いの火種を生む民間企業が生まれていないことを強く望みたい。

邦題『最後に笑った男』は結末まで読むと実に含蓄に溢れた好題名と感じるが、原題“Misfire”もまたフリーマントルらしいダブルミーニングを孕んだ皮肉な題名である。読み進むにつれてその意味が変わってくる抜群のタイトルだ。

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