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ミステリの祭典

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からくり探偵・百栗柿三郎 櫻の中の記憶          

作家 伽古屋圭市
出版日2016年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2016/03/07 21:41登録)
大正時代の浅草を舞台に、キテレツ発明家探偵・百栗柿三郎と、女中兼助手・千代のコンビが怪事件に挑む、シリーズの2作目。前作と比べると、謎解きミステリの面では出来がやや落ちる印象があるが、4話ともに古典ミステリ作品の有名なネタを本歌取りした趣向が愉しめる連作ミステリ。

「殺意に満ちた館」は、悪名高い高利貸しが祝賀会の夜、雪の密室で殺されるという、絵にかいたような古典探偵小説な設定。超有名某作のネタをちらつかせて、さらにヒネリをいれている。
「屋根裏の観測者」では、乱歩の有名短編を下敷きにしたような設定の話が、反転を重ねた末に、最終的には別の乱歩作品を想起させるものに変貌する。次の「さる誘拐の話」も、”黄金蟲”の暗号ネタを発端とした事件が、別作品の”バカミス”ネタだったことがわかるが、これは仕掛けがバレバレのような。
最終話「櫻の中の記憶」は、推理の要素が少ない冒険スリラー風になっているが、魔犬の伝承やナポレオン像というホームズ・ネタは無理やり入れ込んだ感じでちょっと苦しい。
しかし、このところの国内ミステリの新刊で、古典ミステリのネタを下敷きにしたオマージュとか、パロディ、本歌取りといった作品がやけに目につく気がしますねえ。

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