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ミステリの祭典

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源氏物語人殺し絵巻

作家 長尾誠夫
出版日1986年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2016/02/06 23:23登録)
(ネタバレなしです) 長尾誠夫(ながおせいお)(1955年生まれ)は非ミステリーの歴史小説も書いていますがデビュー作は1986年発表の本書で、紫式部の「源氏物語」をミステリー仕立てにアレンジした本格派推理小説です。こういうタイプでは岡田鯱彦の「薫大将と匂の宮」(1950年)という偉大なる前例がありますが岡田作品は光源氏死後の時代の物語、本書は光源氏の時代の物語となっています。紫式部が作中人部として登場しているのは両者の共通点ですが、岡田作品では式部の一人称形式にしてほとんど出ずっぱりでしたが本書は頭中将など式部以外の人物にスポットライトが当たる場面が随所にあります。平安時代の貴族社会では普通なのかもしれませんが現代の社会常識から見れば乱れた人間関係描写が多く、時にホラー風な場面さえあるのは好き嫌いが分かるでしょう。重苦しい結末も読者を選びそうです。

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