home

ミステリの祭典

login
光と影

作家 三好徹
出版日1960年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 nukkam
(2016/01/31 21:22登録)
(ネタバレなしです) 多作家の三好徹(1931-2021)は一般的には社会派推理小説家として知られていると思いますが、その作品はハードボイルドなら「天使」シリーズ、スパイ小説なら「風」四部作、犯罪小説なら「身代金」シリーズなど実に多岐多彩に渡っており、また非ミステリー作品でも「チェ・ゲバラ伝」(1971年)などが評価が高く、まさにマルチ作家です。残念ながら本格派推理小説には関心が低かったようですが1960年発表のデビュー作である本書は本格派推理小説と社会派推理小説の両方の要素を持ち合わせています。アパートの一室で大物政治家が殺され、非常階段の下で新聞記者が頭を殴られて昏倒しているのを発見された事件を警察と新聞記者がそれぞれ追いかけますが、対立や競争はそれほど際立っておらず政治色も強くありません。ドライな文章で良くも悪くも手堅く生真面目にまとめた作品ですが、使われているトリックが子供のいたずらみたいなものだったのには意表を突かれました。

1レコード表示中です 書評