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ミステリの祭典

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鍾乳洞殺人事件

作家 ケネス・デュアン・ウィップル
出版日2006年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2016/08/06 16:28登録)
(ネタバレなしです) 1934年発表のミステリー第2作です。鍾乳洞の暗闇の中で被害者が鋭い鍾乳石を心臓に突き立てられる、と紹介するとハハンと感じる読者も多いと思いますが本書はあの横溝正史による翻訳で国内に紹介され、明らかに彼の名作「八つ墓村」(1949年)に影響を与えたと思われます。本格派推理小説としてはそれほどパズル要素は強くなく(謎解き手掛かりや伏線は十分ではない)、サスペンス溢れる雰囲気重視の作品です。舞台や人物描写がかなり仰々しい上に横溝の翻訳も「何て〇〇なんでしょう」とお芝居調なので通俗スリラー色は相当ですが旧漢字に旧仮名遣い、現代ではあまり使われない文章表現の翻訳にもかかわらず意外と読みやすかったです。何より洞窟を舞台にしたサスペンス豊かな展開は独特の魅力があります。

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