home

ミステリの祭典

login
バレンタインの遺産

作家 スタンリイ・エリン
出版日1980年11月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 クリスティ再読
(2025/03/10 13:28登録)
怪我で引退した元テニスプレーヤーの主人公は、レッスン生徒から遺産相続のために形式的な結婚をすることを持ちかけられる...しかし競争相手がいるためにこの契約は秘密とされた。主人公に向けられた尾行・嫌がらせや結婚相手への脅迫が続き、ついには主人公も拉致される...この遺産の謎とは何か?

という話。マイアミからボストン、ロンドンと舞台が移るさまがスパイ小説風だけど、実際ちょっとだけそんな背景も覗く。そのうちに形式的な結婚、とされていた相手とも愛情が芽生えるとか、これはお約束。ポイントは挫折した元プロプレーヤーでフィジカルではエリートなあたり。ギャングなどと渡り合うがそれなりに強い。ここらへんディック・フランシス風。

問題は全体の真相が不明のまま怪しい人物が理由もよく分からないまま主人公たちを迫害する格好になって、フラストレーションが大きいこと。また主人公をなぜか贔屓にするギャング、結婚相手の相棒のような奔放な女、真面目な主人公の弟といった序盤で印象的なキャラが中盤から完全に置き去りになって、それを埋め合わせるほどの真相の面白さがないこと。

スリラーとしてはそれなりで、真相も予感はするが意外系。まあだけど作者にいいように引きずられたような読後感。真相もとある人物が全部教えてくれるとか、カタルシスがない。描写の細かさとか「エリンらしさ」はあるんだけどもねえ。

No.1 6点 mini
(2016/02/13 09:58登録)
* 季節だからね (^ ^;
でもこれバレンタイン・デーとは何の関係も無いんだよね、単なる人名だから(苦笑)

* 私的読書テーマ、”生誕100周年作家を漁る”、第1弾スタンリイ・エリンの2冊目
前回1冊目の書評をした「第八の地獄」が初期の作だったのに対して、「バレンタインの遺産」は題名が館ものっぽい「カードの館」の次に書かれた中期以降の作である
ついでに言うと叙述トリックものの「鏡よ、鏡」はさらに後、後期に近い時期の作だ
ハードボイルド的な「第八の地獄」に対して、この「バレンタインの遺産」は巻き込まれ型サスペンスと国際スパイ小説の中間あたりを狙ったような作だ
でもまぁジャンル投票だと、やはり基本はサスペンスでしょうね
細かく舞台設定が移り変わるわけじゃないが、マイアミ→ボストン→ロンドンと舞台が動く事が効果を上げており、単調になりかねない巻き込まれ型サスペンスに国際陰謀小説的なスパイスが上手く融合している
エリンらしい緻密な文章と緻密なプロット、エリン長編の中では標準的な佳作じゃないかなぁ
平凡という意味じゃなくて良い意味での水準作ですよ、「第八の地獄」が傑作過ぎるんだよ、比較さえしなければ「バレンタインの遺産」も十分面白い

2レコード表示中です 書評