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ミステリの祭典

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非常階段

作家 日影丈吉
出版日1960年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2016/01/19 18:45登録)
(ネタバレなしです) 1960年発表の長編第4作で、台湾を舞台にした文学性の濃い「内部の真実」(1959年)と「応家の人々」(1961年)の間に挟まれて厳しい評価を受けているようですが本書は本書ならではの良さがあります。会社の人事採用に絡む諸事情と人事担当者の殺害という社会派推理小説で扱いそうな事件を描いていますが犯人の正体を最後まで隠した本格派推理小説です。事後従犯者による死体移動と、さらに何者かによる死体消失を発生させて謎を深めているのが工夫になっています。前後に発表された作品のような幻想性はありませんがそれは弱点ではなく、読み易いのは本書の長所と個人的には思います。ただ明快な語り口であるがために犯人当てとしてはアンフェアなところが目だってしまったのも否定できないのですが(発表当時もそこは厳しく評価されたようです)。

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