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ミステリの祭典

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スクールアタック・シンドローム

作家 舞城王太郎
出版日2007年06月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2020/03/08 22:38登録)
崇史は、俺が十五ん時の子供だ。今は別々に暮らしている。奴がノートに殺害計画を記していると聞いた俺は、崇史に会いに中学校を訪れた。恐るべき学校襲撃事件から始まった暴力の伝染―。ついにその波は、ここまでおし寄せてきたのだ(表題作)。混沌が支配する世界に捧げられた、書下ろし問題作「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を併録したダーク&ポップな作品集。
『BOOK』データベースより。

正直表題作と『我が家のトトロ』は何となく読み終えてしまい、あまり印象に残りませんでした。特にオチがなく、起承転結のメリハリが付いていない気がします。何だか話が無茶苦茶なところは共通していると思いますし、それが舞城王太郎の特性なのでしょう。ですから、好みははっきり分かれるタイプの作家であるのは間違いないですし、本作品集を読んでこれは駄目だという方は避けて通るのが無難だと思いますね。

問題は『ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート』です。これは傑作ですよ。近親相姦、カニバリズム、スカトロなどエログロな面があり、万人向けとはお世辞にも言えませんが、直截的な描写が少ないのが救いです。個人的には舞城作品の中でも屈指の出来栄えではないかと思います。これは先に述べた起承転結がしっかりしており、普通の感覚で捉えることは難しいですが、この作家の作風を理解できるのであれば必須アイテムでしょうね。

No.1 8点 風桜青紫
(2016/01/17 21:59登録)
「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」は舞城の短編でも屈指のインパクト。「人間の根っこはどれも欲望やで!」なんてなんとも月並な言葉だけども、この作品において主人公たちを動かしてるのはまさしくそれだからなあ……。出だしからソマリアを流れで殺しちゃうし、智春となんか合体ひまくってるし、淳一をぼこぼこにしたところでやりきれないわけです。ああ、感想がむつかしい。表題作もトトロも面白かったし、舞城の短編集では一番充実しているかと思います(支離滅裂)。

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