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ミステリの祭典

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宇宙クリケット大戦争
銀河ヒッチハイク・ガイドシリーズ

作家 ダグラス・アダムス
出版日2006年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 Tetchy
(2016/01/15 00:02登録)
相変わらず破天荒な物語である。
とにかく1巻から続く脱線に次ぐ脱線の物語は本書も健在。いやはやとにもかくにも作者のダグラス・アダムスは相当な捻くれ者らしい。全てがおふさげの産物だ。子供たちに人気の『かいけつゾロリ』のキャッチフレーズは「まじめにふまじめ」だが、このシリーズの神髄もまさにそれ。3作目にしてどうにかこのふざけを愉しむイギリス人独特のユーモアセンスが見えてきた。

そして1つ気付いたのは恐らくこれはアダムスだけではないだろうが、宇宙ではもはや時間軸と云うのは簡単に覆り、過去に戻ることが出来る物だと認識されていることだ。本書では逆にそれが数々のパラドックスと問題を起こしているとして<実時間を守れキャンペーン>なる物が銀河系で行われているというジョークまである。

そしてまた宇宙では生物の思考が万物の法則や時間をも超越するように考えられていることも本書では頻出する。特にアーサーが崩壊する場所から逃げ出すときになぜか空中に浮いており、そのことに対して疑問を持つと次第に落下し出すので、飛ぶイメージを持つことでその状態を保つエピソードが出てくる。通常であれば非常にナンセンスであり、まさに“トムとジェリー”の世界なのだが、この考え方もSF物ではどうやら至極当たり前の論理らしい。例えば『スター・ウォーズ』に登場する宇宙に満たされているフォースと云う概念もまたその類であり、もっと近い内容で云えば『機動戦士ガンダム』に登場するニュータイプという概念もまたそうだ。
つまり宇宙ではこの時間軸が容易に反転する事、空間もまた容易に移動できること、そして思考がそれらを凌駕する事。

これらを頭に入れて読むとアダムスの描くこのシリーズの不条理なストーリー展開も以前よりはすんなり頭に入るようになってきた。

あと本書には短編「若きゼイフォードの安全第一」が収録されている。この作品のジョークはしかし今では解説がないと理解できないかなぁ。

とにかくようやく3作目に至ってアダムスのジョークのテイストが解ってきた。前2作に比べてはるかに愉しんで読める自分がいた。

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