home

ミステリの祭典

login
凄愴圏

作家 森村誠一
出版日1982年03月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 nukkam
(2016/01/11 03:22登録)
(ネタバレなしです) 1980年に発表された新本格推理三部作の最終作ですが、三部作のトリを意識して読む必要はないように思います。角川文庫版の巻末解説では「三部作の互いに関連してつながっている物語の構成の巧みさ」と紹介され、確かに本書の終盤では「太陽黒点」(1980年)の引用が見られますがこれだけでは連作としては弱く、他の三部作を読んでなくても鑑賞に支障はありません。同じ巻末解説では本書をサスペンス小説と評価していましたが個人的には前半がサスペンス小説、後半が警察小説のジャンルミックス型、いずれにしても「本格」要素は皆無に近く、三部作全部読んでも本格派らしさを感じたのが「空洞星雲」(1980年)のみというのでは「新本格推理」の看板は外した方がいいのではと思います。それにしても誘拐、婦女暴行、麻薬などの卑しい犯罪、非情な結末のプロットと、ハードボイルド向きのネタが満載で、そっち路線を突き進んだ方がよかったのでは。

1レコード表示中です 書評