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ミステリの祭典

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黒薔薇 刑事課強行犯係 神木恭子
「黒薔薇」シリーズ

作家 二上剛
出版日2015年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2015/12/10 09:40登録)
第2回本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト受賞作。
著者は1949年生まれの元暴力犯担当刑事。
荒唐無稽とも言える話だったが、元刑事が書いたのだったら、案外あり得るのかとも思う。モデルもあったりして・・・
女刑事を主人公とした、ありがちな警察小説と思っていたら大違い。衝撃作だった。

初めはクセのある大阪弁の刑事が出てきて泥臭い警察モノの様相だったが、次第に社会派サスペンス小説になり、さらに犯罪小説に化けてしまう。でも終盤では、24歳の新米女刑事・神木恭子vs〇〇〇〇という、悪漢対決ミステリーになっていく。
主人公の神木が最初たよりなさそうなのに徐々に逞しくなるのは面白い。たんに正義感があって張り切りすぎの刑事ではないのもよい。ワルたちに揉まれて変身していくという感じだろうか。

講談社のサイトに載っている、著者のコメント「嬉しくて跳び上がり、天井に禿げ頭を打ちそうです。この喜びを分かち合える人がいることも幸せです。・・・」は、謙虚な感じがして好感が持てる。
厳つくて柄の悪そうなオッサンを想像していたが、品のよい紳士(いや、少し厳ついかな)に見えるのもよい。
みなよく見えてきた。早くも次作が待ち遠しい。

なお、改題がされている。受賞時の原題は『砂地の雨』。いかにも清張世代が付けそうなタイトルだ。現タイトルの副題部分は誉田氏の姫川玲子シリーズか、秦氏の雪平夏見シリーズを連想させる。これは出版社によるミスリードか。でも、だまされてよかった。

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