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ミステリの祭典

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憎悪の依頼

作家 松本清張
出版日1982年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 斎藤警部
(2015/11/24 12:41登録)
憎悪の依頼/美の虚像/すずらん/女囚/文字のない初登攀/絵はがきの少女/大臣の恋/金環食/流れの中に/壁の青草
(新潮文庫)

本格推理、犯罪小説、歴史証言から恋愛小説めいたものまで、ヴァラエティに富んだ興味津々の短篇集です。柔らかなセンチメンタリズムが底に流れていそうな作品がちょっと目立つ。

あまり話題にならない様ですが「絵はがきの少女」の抒情とも旅情とも割り切れない微かな哀感は心の映像と共に永く残ります。“水曜どうでしょう”の”絵ハガキの旅”再放送を観るたびこの話を思い出します。 「女囚」の虚を突かれる反転、考えてみれば尤もな事ですが、、これは教訓にしたい一篇ですね。。「美の虚像」や「文字のない初登攀」で展開される丁々発止の人間攻守劇は緊張感抜群でこれぞクラシック清張節。題名力の強い表題作は。。清張にしちゃチャンチャン終わりかな。でも面白い。うん、この表題作だけは文学的物思いに耽らずともストレートに楽しめる通俗の味わいで、中でも一番の異色かも。しかし、とある作品で男色心情をつらつらと書き連ねているのには(乱歩じゃあるまいし)驚いた。意外とリアリティあるのが何とも言えねえ!

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