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シーマスターさん
平均点: 5.94点 書評数: 278件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.5 6点 犯罪ホロスコープⅡ 三人の女神の問題- 法月綸太郎 2013/02/04 22:30
法月ホロスコ-プ第2弾。黄道十二宮の後半の6話。

・「宿命の交わる城で」・・作者らしい巧みの業が遺憾なく盛り込まれているが如何せん、ややこしい。
・「三人の女神の問題」・・全体に凝り過ぎの感がある本短編集のなかでは、ほどよい凝り加減。
・「オーキュロンの死」・・悪くはないけど、こういう犯人はねぇ...
・「錯乱のシランクス」・・そんなん知らんくす
・「ガニュメデスの骸」・・悪くはないけど、こういう犯人はねぇ...
・「引き裂かれた双魚」・・無茶苦茶な話だが、洗脳を使われちゃうとね...

全作、法月氏らしい技巧と構図の変転を兼ね備えていると思うが、真相究明に当たっての「心理面の推測」がいずれも独善的というかコジツケが強い印象は拭えない。人の内面の動きなんてそんなに単純に他人が読めるものではないだろうと。

いずれにせよ、のりりんはやっぱりテーマに縛られずに自由に書いた方がいいですね。

No.4 6点 しらみつぶしの時計- 法月綸太郎 2008/10/10 21:03
作者の最新短編集ではあるが・・・・・

・「使用中」「ダブル・プレイ」・・・両作とも途中で、かなり前に読んだ話であることに気づき計らずも再読することになったが、このころのノリピーには張りがあったなーと妙な懐かしさを覚えたりもする。
・「素人芸」・・・これも随分前の話のようだが特筆すべき点は見当たらない。
・「盗まれた手紙」・・・カラクリは読めたが面白いパズルだと思う。タイトルはあの作品そのままだが文調まで似せているのには舌を巻いた。
・「イン・メモリアル」・・・読後ニヤっとさせられるショート・ショートだが若干意図が分かりにくいかもしれない。
・「猫の巡礼」・・・意図不明。(悪くはない)
・「四色問題」・・・このD・メッセージは関係者以外にはまず解らないし答えを聞いても「ふーん」だろう。
・「幽霊をやとった女」・・・冒頭で一目瞭然カート・キャノンのパスティーシュ。ストーリーも小気味よく纏まっている。
・「しらみつぶしの時計」・・・問答無用で余計なファクターを一切排除した閉ざされたロジックの空間を演出しているが、解決の糸口となる仮説(何となくノーベル物理学賞の「粒子・反粒子の対称性の破れ」を連想させる・・もちろん冗談)は、どうも屁理屈の域を出ていない気がするし、最後の決め手も脱力モノで結局中途半端な印象しか残らない。
・「トゥ・オブ・アス」・・・これも既読の気がするが相当前だし、ノリちゃん、このネタ他でも使っていると思うのではっきり同定できず。割りとよくできた話だと思うがキレは感じられず。

トータルとしてはホロスコープより面白かったが、この人には生っぽい本格短編をもっとビシバシ書いてもらいたい。

No.3 6点 犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題- 法月綸太郎 2008/10/06 23:12
これは、カバーの「著者のことば」の一文がそのまま書評になる・・・・・曰く「気楽に読んで愉しめる、そして後にはいっさい何も残さない、そんな娯楽奉仕に徹したミステリー集・・」

ノリリンらしい骨っぽいロジックや反転トリックも見られるが、テーマである星座、ギリシャ神話との関連づけの苦しさが随所に滲み出ているのは如何ともし難い。
まあ、この方それほどこの分野に造詣が深いわけではなさそうだから、命題が与えられたものだとしたら努力賞兼敢闘賞モノ。

No.2 5点 頼子のために- 法月綸太郎 2007/07/13 22:49
確かに、頼子がかわいそすぎるよね。

(ほぼネタバレ)



『誰彼』の序章でも、親のおかしな逆恨みがあったと思うけど、この人自身妙な過去があるのかな。

また綸太郎が引っ張り出されなければならない理由もムリヤリな感が大だし、政治家の抗争図なども「この状況」を作るためという作者の意図が剥き出しになってしまっている。
更に、登場人物のキャラクターが一様に中途半端な印象で、インパクトが強い事件のはずなのに(第二部以後は)何か一枚ビニールを通してストーリーを眺めさせられている気分になった・・・・のは自分だけかな。

手記を使ったトリックとしては特筆すべきほどのものではないが、ミステリ作品としては悪くない。しかし真犯人指摘の場面などは、もう少し盛り上がりがあってもよかったのではないだろうか。(「あれ、今そんなトコロだったの?」ってな感じ)
その後の真相解明とラストの底知れぬ暗さがヤマなのではあるが。

No.1 8点 法月綸太郎の功績- 法月綸太郎 2007/06/10 23:56
この作者の短編集としては4作目になるのかな。

・「イコールYの悲劇」 本書の何年か前の書き下ろしアンソロジーからの作品。途中までは法月らしく「仮説と却下の繰り返し」あり、ゴリゴリしたロジックあり、だが詰めは飛躍気味。
・「都市伝説パズル」 これはうまい。自分などは始めのルーモアで震え上がってしまったが、それを逆手に取ったトリックは妙逸。こういうのをダラダラ長引かせずに一夜のアームチェアに纏めてくれるのも好感が持てる。怪談風のエピローグも程がいい。
・「ABCD包囲網」 これも以前のアンソロジーからの作品。実は何気なく買ったその本で本作を読み、「おっ」と思ったのが法月作品に手を出すきっかけとなった。(今思えば他が駄作ばかりだったかも)

この人の短編はコクがあるのにキレがある話が多く、手軽に楽しめてハズレも少ない。(『パズル崩壊』を除く)
そろそろ次作を期待したい。

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シーマスターさん
ひとこと
再開おめでとうございます。
たくさんの方がたくさんの書評を寄せられることを期待しています。
好きな作家
クリスティ  チェスタトン  恩田陸
採点傾向
平均点: 5.94点   採点数: 278件
採点の多い作家(TOP10)
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