皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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モトキングさん |
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平均点: 6.06点 | 書評数: 78件 |
No.2 | 6点 | 黒い仏- 殊能将之 | 2008/10/07 15:11 |
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問題作。
こう世間で定義づけられている作品というのは、私の知る限り間違いなくアンチ、メタなミステリである。 まあ、だから今作も、もちろんその類だという確信…いわゆる先入観があった。 あったのだが、果たして…、 …いや、でもこれ、その先入観すら超えたね。 アンチとかメタとか。ミステリを軸に据えて考えると、もちろんそういうことなのだけど。 その軸を一旦忘れてしまうと…、 何か凄く楽しそうな歴史ファンタジーのプロローグを読んでいるみたいでした。 でも、本編がないから、ファンタジーとしても最悪ですが。 そんなこんなで、 個人的には、ムカつくっていうより、笑えました。 凄いですよ。これを作品にするのは。 思いついても出来ない。 いやむしろ思いつくだろうけど、…そこからどんだけ大きい壁を越えれば、こんな厚顔無恥の境地にまで辿り着けるのだろう。 凄いですよ。これは。 |
No.1 | 7点 | ハサミ男- 殊能将之 | 2003/12/05 10:55 |
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良く出来た佳作。やや変形のミステリという感じ。 この性別誤認、人物誤認という叙述トリックは、各々単独では、既出ネタだと思うけど、それを組み合わせたのがまず上手い。 片方を疑っても、もう片方の可能性に気づかない限り、その疑念は否定されてしまう。…この構造がとても上手いと思った。 つまり、両方を同時に疑わないと、その可能性を肯定出来ないのだ。 文章も、新人とは思えない上手さ。物語の出来としてはかなりの高水準だろう。 ただ、真犯人の解明は、やや唐突に過ぎる。もう少し伏線を入れられなかったか。 レベルが高い作者だと思うからこそ、また、新人賞応募作という締切なしで作れる余裕があったと想像するからこそ、その点が惜しまれる。 それと、確かに良作だが、メフィストを取るような「新風」には思えない。 |