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えりまきとかげbyばななさん
平均点: 10.00点 書評数: 1件

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No.1 10点 風が吹いたら桶屋がもうかる- 井上夢人 2004/12/16 15:56
本格という形式は論理の飛躍(あるいはアクロバット)によって成立している。その飛躍というものは多くは蓋然性であったり最たる「らしい」という推定によって行われたりするのであるが、実はその操作はひどく果敢なく危ういものであるというのがこの本のメインテーマと言うべきものであろう。登場人物のせりふに「矛盾がない推理であれば(たとえ現実と違っていても)真実なのだ」というようなものがあるが、これは本格の屋台骨を突き動かすようなシニックなものであるのと同時に、本格がミステリの重要なジャンルとして楽しまれている動機を如実に書き表している。ファンはその危うい飛躍を求め本格を読むのだし、もちろん作者の意図もそこにあるのだろう。アンチテーゼとして本格をもちだすことで逆説的に本格の抱える問題点や本格の形式までも浮彫りにした作者の構想と意気込みに素直に称賛すべきだと思う。蛇足ながら本格とマンネリズムに対しては都筑道夫の退職刑事1(ソウゲン版)に詳しい考察があります。

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