皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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しゃんてんさん |
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平均点: 6.55点 | 書評数: 33件 |
No.2 | 7点 | 緋友禅- 北森鴻 | 2003/07/12 17:01 |
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台詞にわざとかぎカッコを使っていない部分が多かったが、それが独特の味を出しているように思う。また、描写も上手く感じられ、骨董や芸術の世界に生きる面々の、どこか化け物じみた表情が思い浮かんでくるような気さえした。職人が創作への意志、そういったものが、門外漢の私にも伝わってくるような気がする。 物語としても非常に面白い。『奇縁円空』のラストの一言が私は好き。ぞくりとさせられた。 |
No.1 | 8点 | 桜宵- 北森鴻 | 2003/07/12 17:01 |
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ます、食べ物がものすごくおいしそう。読んでいるだけでお腹がすく。それほど、詳しく書いているわけでもないのだが、すごく食べたいという気持ちにさせられた。 工藤の推理は必ずしも論理的ではないし、事実と照らし合わせることでしか証明が不可能である。短編によっては事実によってすら確かめられないものもある。しかし、それでも、彼の推理が導き出した結論が真実味を帯びているように思える。それは、彼の推理の中に、人間の心理が上手く描かれているからではないだろうか、そんな風に思った。 最近の本格ミステリでは「動機から犯人を割り出すのはださい,動機を追及できやしない」そんな、傾向があるように思う。この作品は、そんな傾向に真っ向からぶつかっていて面白い。淡くて切なくて悲しくて、がちがちの本格ミステリには無いものを持っているだろう。 |