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三枝さん
平均点: 5.81点 書評数: 21件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 8点 ラットマン- 道尾秀介 2024/11/05 19:58
殺人による青春の終わり、というシナリオが好みだったので個人的にはどんでん返しがない方が好きだったかなあと。

終盤の展開は見事としか言いようがなく、1つの事件に何重もの解答を与える『毒入りチョコレート事件』的な手法が冴えます。
特に1発目をひっくり返すくだりはまったくの不意打ちであったため、本を読む手が少し止まってしまいました。
ここまではよかったように思います。

その後は毒チョコのように証拠が増えてそれを足がかりにするわけではなく、推理というよりは思いつきに近いのですが一応の伏線は張られています。
過去と現在がシンメトリーを描く構図もさすがです。

ただ、これまた個人的好みに片足を突っ込むのですが、こういった二転三転物はどんでん返しに対する伏線が弱くなりがちで、どんでん返しの驚きというのは6〜7割がたが伏線によるものだと思うのです。
返される驚きよりも“へー、そうなんだすごいねー”となんだか覚めた気持ちになってしまうのは私だけでしょうか。

陰鬱な道中に対してラストは希望を感じさせるものとなっており、ここにもっていきたいがために無理やり犯人と動機をこしらえたようにすら感じてしまいます。

また本作のすれ違いを招いたのは作品テーマとされているラットマンの理屈より“無実の容疑者は自分だけは犯人ではないと知っている”というミステリーでは定番の自己認識のように思いました。

文句ばかりになりましたが、おもしろい作品だったのは確かです。
ただ本来の着地点より読みながら予想していた着地点の方が好みではありました。

No.1 4点 鬼の跫音- 道尾秀介 2024/08/26 09:30
※ややネタバレ

全体的にワンパターンに感じます。
“実は誰々がヤバい奴だった”“信用できない語り“”こればっかで展開が読みやすいですし、ホラーとしても安直に感じます。
ノスタルジックな語り口は素晴らしいのですがベテラン作家が筆力でゴリ押しした作品という印象です。

あと表題の元は『冬の鬼』だと思うのですが、結局鬼の足音とはなんだったのでしょうか?
「一月八日」の記述もよくわかりません。
実際に鬼がいる世界観なのか、いたとしてなぜ主人公たちが狙われているのか。
釈然としない作品でした。

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三枝さん
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