皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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びーじぇーさん |
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平均点: 6.23点 | 書評数: 86件 |
No.2 | 5点 | あなたを愛してから- デニス・ルヘイン | 2023/12/17 21:11 |
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レイチェルは夫を撃ち殺した。なぜ、どのような状況で夫を撃ったのか。このあと物語は過去に遡り、レイチェルの出生から語られてゆく。彼女は一九七九年、マサチューセッツ州に生まれた。母親のエリザベスは三冊の著書を持つ作家で心理学者だが、レイチェルは三歳の時に去っていた父親についてほとんど知らない。
第一部はレイチェルの父親探しの過程がメインとなっており、ゆったりとした展開である。ところが中盤から話は急展開を遂げる。レイチェルの身に逃げ場の無いピンチが矢継ぎ早に襲いかかる後半は、ジェットコースターさながらで全く先が読めない。前半の一見悠長な展開が、レイチェル及び彼女を取り巻く人々の像を明瞭に結ぶ効果を上げている。アンフェアな個所もあるが、それが気にならないほどに面白いのも確か。 |
No.1 | 6点 | 運命の日- デニス・ルヘイン | 2019/10/12 20:58 |
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物語は、本書で狂言まわしをするベーブ・ルースが、オクラホマで黒人たちと野球に興じる場面からはじまる。そこでベーブは腕のいい投手ルーサーと出会うのだが、ルーサーは黒人であり、多少心を痛めても、判定を有利に進めて勝利をつかむ。
そんな挿話のあと、第一次世界大戦後のボストンを舞台にうつし、警官たちのストライキに焦点があわさる。戦争後の財政の悪化から低賃金を強いられ、さらに低保証のために警官たちの我慢も限界に達していた。 ボストン市警の巡査ダニーは、警部である父トマスの命令で、そんなストライキを計画する急進派のグループに潜り込む。しかしダニーはやがて待遇改善を呼びかける警官たちの先頭に立ち、父親と対立を深めていく。 一方ルーサーは、ギャングとトラブルををおこし、オクラホマを追われてボストンにやってきて、トマスとダニーのコグリン家で働くことになる。こうしたダニーとルーサー、そしてダニーが密かに思いを寄せる使用人のノラの三人が心を通わせるようになるが、騒然とした時代の中で、三人はさまざまな苦悩に直面する。 当時の史実を折り込んだ歴史小説であり、親子の確執を捉えた警察小説でもある。また、愛と家族と許しを巡る物語が深く豊かに織り上げられて圧倒的。ルヘイン作品の特徴でもある、やるせない哀しみとそこはかとない孤独感がここにもあり、それが逆に不安と絶望を生きる現代人の心を慰撫する。 |