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びーじぇーさん
平均点: 6.22点 書評数: 85件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 5点 わが母なるロージー- ピエール・ルメートル 2023/11/06 21:16
パリの街中で爆破事件が起き、多くの負傷者が出た。爆発したのはなんと第一次大戦中の砲弾だった。その直後、ジャン・ガルニエと名乗る青年が警察に出頭し、残り六つの砲弾を一日に一つずつ爆破させると告げる。要求は大金と自らの無罪放免だったが、やがてジャンの母親ロージーが殺人罪で拘留中であることが判明する。一体、この親子の間に何があったのか。ヴェールヴェンはジャンの取り調べを担当し、彼の真意を暴こうとする。
本書でメインに据えられている趣向はタイムリミット。ジャンはテロ対策班の厳しい取り調べを受けても、砲弾を仕掛けた場所を白状しない。しかも、第一次大戦中の古い砲弾だけに、ジャンの意図通りに爆発するかどうか、彼自身にすら計算できないという不確定な要素もあるので、捜査方針はますます混迷を余儀なくされる。
短い分量ながら、各探偵と犯人の知略の対決をたっぷり味わうことが出来る。ジャンの母親であるロージーの出番が少なく、彼女のキャラクターの掘り下げが物足りないという不満もないわけではないが、起承転結がくっきりした展開の中でサスペンスを盛り上げ、インパクトの強い結末に着地させる手腕は見事

No.1 7点 傷だらけのカミーユ- ピエール・ルメートル 2020/03/06 20:19
章の頭に時刻を掲げ、強盗、逃走、仲間割れという犯人たちと、監視カメラの再生、情報の収集、一斉捜査という捜査人の動きが交互に描かれ、事態の推移を克明にしていく。
物語を牽引するのは、強力なホワイ。なぜ犯人は目撃者を執拗に痛めつけ、危険をおかして搬送先の病院まで追ってきたのか?一方で、自分に好意的な親友のジャンや部下のルイも欺き、独断専行の捜査を進めるカミーユへのプレッシャーは、上司ミシャールとの摩擦でマックスに達する。事件の謎と主人公の内面の双方から、物語の緊張感は増していく。
現代という時代を映す鏡の役割を果たしている暴力描写は、先の二作にくらべ、その過激さがやや薄まった印象がある。しかし、本作が三部作の締めくくりであることを思い起こさせる怒涛の展開が待ち受ける。
本作では、過去の登場人物たちが、思いもかけなかった形で帰ってくる。読者の意表をつくどころではない大胆不敵なケレン味は、先の二作に決して見劣りしない。

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びーじぇーさん
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採点傾向
平均点: 6.22点   採点数: 85件
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