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小原庄助さん
平均点: 6.62点 書評数: 272件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 5点 リセット- 北村薫 2025/07/31 20:46
三部構成の第一部は、水原真澄の青春と結城修一との間に芽生えた運命的な恋が語られるが、三十三年ごとに繰り返される流れ星の、宇宙の摂理に基づく「輪廻」の形は修一が戦争によって命を落とした後も、第二部の村上和彦へと引き継がれていく。
死んだはずの結城修一の「再生」が、村上和彦を通じて納得されるのは、第一部で描かれた青春の清冽さと、その後も「永遠」を生きようとするものの思いの強さのせいだろう。
戦前戦後の子供たちの風俗、社会的事件を巧みに配しながら、二重三重に張り巡らされていく「死」と「転生」。理不尽にも死の世界へと引きずり込まれた少年と、少年を思う少女の命の輝きを時間のねじれに縫い込んで、作者は「会わねばならない」という想念へと物語を昇華させていく。
結城修一と水原真澄が「輪廻」を経て現代に甦り、失われた人生を「リセット」させる最終章には、未来永劫の命への讃歌に満ちている。

No.1 5点 遠い唇- 北村薫 2017/11/03 13:08
七編からなる短編集でそのうちの数編は女性が語り手。
ミステリとしてはある男性人物の視点から江戸川乱歩の「二銭銅貨」の裏側を推理する「続・二銭銅貨」も興味深いが、やはり女性作家と名探偵がダイイングメッセージを解き明かす「ビスケット」が面白い。
短詩型に造詣の深い作者は、巧みに俳句や短歌を引用して、隠された人物の思いを引き出し、女性たちの心象風景をしっとり映し出す。
完成度はやや甘いけれど、叙情が心に残る。

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小原庄助さん
ひとこと
朝寝 朝酒 朝湯が大好きで~で有名?な架空の人物「小原庄助」です。よろしくお願いいたします。
好きな作家
採点傾向
平均点: 6.62点   採点数: 272件
採点の多い作家(TOP10)
評論・エッセイ(11)
アンソロジー(国内編集者)(6)
伝記・評伝(6)
中村文則(4)
京極夏彦(4)
ドン・ウィンズロウ(3)
フェルディナント・フォン・シーラッハ(3)
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