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小原庄助さん
平均点: 6.64点 書評数: 260件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 5点 謀略空港- シェイン・クーン 2019/03/12 09:50
前作の皮肉なユーモアに彩られた殺し屋の物語「インターンズ・ハンドブック」とは、全く毛色の異なる物語だ。
ケネディは航空保安警備の専門家。9・11のテロで妹を失い、この道に進んだ。コンサルタントとして世界各地の空港を飛び回る彼を、CIA(中央情報局)のテロ対策チームがスカウトする。あるテロリストが、複数の空港を狙った大規模なテロを企んでいるというのだ。かくしてケネディは、テロとの戦いに巻き込まれる・・・。
前作で見せたユニークな語り口、凝った人物描写といった強みをすべて封印して、どんでん返しの連続する謀略スリラーに徹している。
人物描写も語り口も控えめで、小説というよりは長いあらすじを読んでいるような気分になるかもしれない。だが、意外な展開の連鎖で形作られた物語は、ぐいぐいと読む者を引っ張っていく。
後半は逆転劇の連続。ひたすら読者を驚かせる展開に特化した、極端に振り切った作品である。

No.1 7点 インターンズ・ハンドブック- シェイン・クーン 2018/08/28 09:47
ミステリというジャンルを好む方なら、ストレートな直球勝負だけでなく、変化球のような癖の強い物語にも心引かれるのではないだろうか。そんな小説だ。
ジョン・ラーゴは派遣会社のインターン。その正体は、暗殺を請け負う同社の命令のもと、標的のオフィスに潜入する暗殺者だ。だが、25歳のラーゴはインターンを装うにはもう年だ。いよいよ最後の任務として、大手の法律事務所に潜入する。だが、この任務はこれまでとは様子が違っていた・・・。
本書は、ラーゴが後輩の暗殺者たちに向けてつづった文書という体裁を取っている。その語りのスタイルが大きな魅力だ。シニカルなものの見方に支えられた、ブラックユーモアに満ちた文体が印象に残る。ラーゴが映画マニアという味付けも効いていて、随所に出てくる映画ネタが、語りの魅力を膨らませている。
そんな文章で語られるストーリーも強烈だ。裏切りと驚きに満ちた展開の末、予測不能な結末に着地する。個性は強いがカルト的な怪作に振り切っているわけではなく、多くの人が楽しめる物語に仕上がっている。

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小原庄助さん
ひとこと
朝寝 朝酒 朝湯が大好きで~で有名?な架空の人物「小原庄助」です。よろしくお願いいたします。
好きな作家
採点傾向
平均点: 6.64点   採点数: 260件
採点の多い作家(TOP10)
評論・エッセイ(11)
アンソロジー(国内編集者)(6)
伝記・評伝(6)
京極夏彦(4)
ドン・ウィンズロウ(3)
フェルディナント・フォン・シーラッハ(3)
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