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羊太郎次郎吉さん
平均点: 6.64点 書評数: 39件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.8 5点 上海幻夜 七色の万華鏡篇- 藤木稟 2017/03/19 13:11
朱雀十五の事件簿の主人公である朱雀の幼少期と両親の出会いが収録されている。
特筆すべきは朱雀の母・香蓮(上海の地下組織の娘)のキャラ造形の酷さ。
作中では誰にでも愛される魅力のある不思議な娘、という設定なのだが外見以外のどこに魅力的があるのか全くわからないんである。

買い物の代金を普通に従兄弟に払わせる我儘さ。
たった一度慈恵(朱雀十五の父親)が人助けをした場面を見たくらいで「日本人にも良い奴はいるんだな」と思う短絡的思考。
時代背景を考えれば無理もないのに「日本人にも良い人間はいる」という意見に耳を貸さない同胞に対して腹をたてる頭の悪さ。
同じ家で暮らしているのに自分に気のある従兄弟の気持ちに気がつかない鈍感さ。
自分と慈恵の間に子供ができたら酷く厄介なことになるということにびた一文も悩まない単細胞。
病弱な息子に対して「病気のパレード」というあんまりな言い回しを使う無神経さ。
朱雀が産まれる前から彼が反日感情のある同胞達からいじめを受けるかもしれないということが分かっていたはずなのに、そういった同胞から息子を守るという考えが全くない阿呆ぶり。
いくら朱雀の精神年齢が高いからといって5歳児に娼館へお茶や飲茶を届けさせる非常識ぶり。

朱雀十五シリーズの女性キャラは聡明な性格や活発で明るい性格と見せかけた非常識で無神経なキャラが多いな。頭がいいんだか悪いんだかよくわからないとでもいうか…。


No.7 3点 殉教者は月に舞う- 藤木稟 2017/03/18 07:06
朱雀十五の『曾孫』息子2人と柏木の『孫』娘が主人公の近未来ミステリーシリーズ。ただし最後に出版されたのが10年前なので、舞台設定が2007年から見た近未来(つまり現在)なのか2017年現在から見ても近未来なのかは不明。
朱雀の曾孫である超美形の十八&十夜の兄弟が、柏木の孫娘であり刑事であるサクラに助言しながら事件が解決されていく…というストーリー。藤木稟さんには珍しい女性向けハーレムものなのだが、女性向けハーレムものには必須であるヒロインへの自己投影のしやすさが全くもって欠けているので読んでいて不愉快だった。
なにしろヒロインであるサクラが美人で幼馴染という以外に美形兄弟の十八&十夜に気に入られる要素が全然ないのである。悪い人ではないのだが、社会人でしかも警察官なのに言動が子供っぽい。おまけに25歳にもなるのに異性への態度や恋愛観が小中学生並みで、明らかに自分に気のある十夜の行動も幼馴染ゆえの行為としか受け取らないイライラするほど鈍感な女。恋愛に対して鈍感なのが可愛いのは18歳までだよ!25歳でこの路線はキツすぎる。

それにしても朱雀十五の『曾孫』と柏木の『孫』が同世代ってどういうこと?一応作中ではサクラの祖母と十八&十夜の曽祖父が義理の兄妹だった、とあるのだが十五と律子は10歳くらいしか歳が離れていないはず。律子が超高齢出産をしたのか?それとも十五が律子以外にもう1人親子くらい年の離れた少女を義理の妹にして、その娘が大きくなって柏木洋介と結婚したのか?私は律子が嫌いなのでその方がいいのだけど…藤木稟さんは律子のことを気に入っているようなのでそれは無理か。

No.6 5点 夢魔の棲まう処- 藤木稟 2016/03/25 05:56
本郷さんは何故律子を処女だと思っているんだろう?律子って確か周りからは元花魁だと思われてるんじゃなかったっけ?というか本郷さんと律子は舞台ハーメルンに哭く笛で一度話をしているのにどうしてマリコ=律子だって気付かないんだろう?

日本人に家族を惨殺された律子が日本人の浮浪児に布団やお菓子を配るってのもなんかおかしい気がする。時々小銭握らせる程度なら分かるけど親の仇の同胞に対してそこまでする気になるもんかね〜。藤木稟さんとしては律子の優しさを強調したくて書いたのかもしれないけど、やり過ぎだと思う。しかも命の恩人でかつ障害者の兄が仕事忙しくてイライラしてるのに自分だけやりたいことやってるってどうよ。

朱雀が電話で馬場に対して「アキメクラ!」と喚く場面があるが、アキメクラとは目が見えるのに状況が把握できない人間のことじゃなく脳の障害や教育を受けなかったことが原因で字が読めない人間のことじゃなかったっけか。

No.5 5点 大年神が彷徨う島- 藤木稟 2016/03/24 13:01
天主家のお屋敷で自分の命を軽んじる発言をしてめちゃくちゃ朱雀に怒られたのに、朱雀が来るまでおとなしくしていない律子にボーゼン。

律子がもと軽業師な上に「ハーメルンに哭く笛」のラストで洋服に火をつけらたのに肌が白魚のように綺麗でスベスベというのに違和感を感じた。13年間も軽業師やってた人が体に傷一つなくスベスベ、なんてことあるのかな?

No.4 5点 黄泉津比良坂、暗夜行路- 藤木稟 2016/03/24 12:55
律子はどうして柏木に沙々羅の事を「強い人」だと言ったのだろう。おそらく家宝を思い切って壊したところを見たからなんだろうけど、沙々羅は家宝を家のために壊そうとして壊したのではなく色々な真実をいきなり突きつけられてヤケになって衝動的に壊しただけなんじゃ?

華子の扱いが哀れすぎると思う。1人だけ醜女に生まれて外に連れ出してくれる親戚もおらず夫にもないがしろにされ女子供に弱い設定の朱雀にすら「何者だったんだ?」と思われるって何だよ。彼女が気持ち悪い性格になったのは本人の責任じゃないだろ。美人だらけの中で1人だけ醜女で隔離された屋敷で32年間も暮らしてたら誰だって性格歪むだろ。

屋敷の中を探索している最中にこの屋敷の人たちはみんなおかしい!と恐れおののく律子にもイラッときた。長い間外部とほとんど接触のなかった人達が、自分達の屋敷に珍客が来るわ失踪事件は起きるわ殺人事件は起きるわじゃおかしくなって当然だろ…。

イラっときたといえば沙々羅。事件解決に手を貸してくれた律子に着古しの服なんて送るなよ!そりゃ天主家のお嬢様の服だから着古しでも立派で豪華なシロモノなんだろうが…。というか沙々羅と律子が同じ服を着られるっておかしくないか?沙々羅が律子に送った服は描写から考えて体のサイズがぴったりじゃないと切るのが厳しそうなデザインだと思われる。でも沙々羅は律子よりも背が低く律子よりも肩や首が華奢で胸がふくよかという設定なのだ。もし律子が沙々羅に送られた服を着ようとしたら、胸がブカブカして肩がキツキツでウエストの絞ってある位置が肋骨のあたりに来てしまい、とても着られたもんじゃないと思うのだが…。

No.3 5点 黄泉津比良坂、血祭りの館- 藤木稟 2016/03/24 12:42
冒頭の天主家の少女達を品定めするような容姿描写が不愉快だった。華子は可哀想だな。周りの少女達が美少女だらけで同じ両親から生まれた姉ですらまあまあの顔なのに自分だけ醜女だなんて。

No.2 5点 ハーメルンに哭く笛- 藤木稟 2016/03/24 12:38
前巻に比べて思想色が強くグロテスクな描写が多いので好き嫌いが分かれそうな作品に仕上がっている。また当時の科学でそんなことができたのか?という様な描写もあり「律子」がうまい具合に亡くなるのも都合が良すぎる気がした。

前巻では「まっすぐで正義感の強い男」と「卑怯で臆病な男」という二面性を持っていた柏木がただの女に弱い熱血漢に変わっているのが残念だった。

ところでこの時代の二十歳って、「女の子」なんだろうか?真理子が柏木に睡眠薬を分けてあげようとした時に柏木が律子にこんな事件が立て続けに起こったら女の子は不安で眠れないよね、みたいなことを言っていたが…

No.1 5点 陀吉尼の紡ぐ糸- 藤木稟 2016/03/24 12:29
朱雀よりも柏木の方が好き。柏木は正義感が強くて暑い男に見せかけて未練がましいところや卑怯なところがある人間らしい性格をしてあるが、朱雀は外見も頭脳も出来すぎていて親しみがわかない。盲目の天才美青年というところも女性読者を狙っているという感じがしてなんかムカつく。

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羊太郎次郎吉さん
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