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りゅうぐうのつかいさん
平均点: 6.29点 書評数: 84件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 7点 空白の殺意- 中町信 2016/12/12 17:38
作者あとがきで、「『皇帝のかぎ煙草入れ』のような作品」と書かれていたので、共通項を探しながら読んだが、心理的なトリックが用いられていることを指しているのだろうか。「皇帝のかぎ煙草入れ」で使われている、あのトリックが形を変えて使われているのかと思ったが、そうでもなく、騙し方としては叙述系と感じた。トリックよりも、第9章で百世が気付いたことの方が類似性があるように思った。
推理の鍵となる重要な事実が後の方で明らかとなるため、読者が推理する余地は少ないが、犯人のアリバイトリックの手法、冒頭部分の記述における錯誤、絵里子の遺書と日記帳に関する真相、伏線の忍ばせ方など、数々のアイデアが盛り込まれていて、ミステリーとして、充実した内容を持っていると感じた。ただし、真相の衝撃度は少なく、あっさりとしているので、あまり騙された感じはしない。
選手や監督の不祥事ならいざ知らず、後援会の会長の不祥事ぐらいで謹慎処分になったりするだろうかと疑問に思った。

(ネタバレ)
「皇帝のかぎ煙草入れ」との類似点として、犯人が本来知らないはずのこと(日記帳の赤いカバーのこと)を証言し、発覚したことが挙げられると思う。

No.1 5点 天啓の殺意- 中町信 2016/06/20 17:38
落ち目の推理作家が犯人当てリレー小説の原稿を推理雑誌の編集者に持ち込んだ直後に失踪。編集者は、その原稿が過去に起こった事件そのままであることに気づき、その真相解明のために調査に乗り出す。
作中にその原稿を取り込んだプロットが面白い。事件関係者相互の関係性の構築が巧妙。旅情性もあって、とても読みやすい作品だ。
『捜査』の章の最後まで読むと犯人がわかってしまうが、「この人物に本当に犯行可能なのか?」と不思議に思い、ページを繰りなおしてみた。確かに非常に意外性のある真相ではあるが、インチキすれすれというよりも、インチキそのものとしか思えない記述には、評価を下げざるをえない。

(ネタバレ)
犯人は、亀岡、片桐、尾道の3人にニセの顔を見られている。それなのに、この3人に真相解明のために聞き取り調査を行っているのはやりすぎだろう。特に、亀岡は客の顔を1度見たら忘れない優れた記憶力の持ち主なので、すぐに気づかれてしまう危険性が高いはずだが。
また、犯人が柳生の原稿を読んだ際に、「この小説のストーリーによく似た作品を、なにかで読んだことがあるような気がしたのだ」と感じ、過去の新聞記事を調べる記述があるが、いくらなんでもこれはひどすぎる(自分が実際にやった犯罪なのだから、すぐに気づくはずのこと)。

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りゅうぐうのつかいさん
ひとこと
好きな作家
採点傾向
平均点: 6.29点   採点数: 84件
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