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505さん
平均点: 6.36点 書評数: 36件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 7点 殺意は必ず三度ある- 東川篤哉 2015/10/30 20:47
野球尽くしの本書の肝は、〝野球見立て殺人〟という連続殺人事件。
東川篤哉らしいギャグを交えつつ、本格ミステリをしている本書のトリックは非常に良く出来ている。バックスクリーン殺人に関するトリックは秀逸である。密室状況かつ監視下に置かれた不可能状況を絡ませたトリックは大技的。
フーダニットの部分は、トリックの性質上弱いのは否めないが、不可能状況を可能にさせる荒業は痛快の極み。
また、本書の見所としてある〝野球見立て殺人〟は見立ての『意味』は良く出来ている以上に見立てた『理由』が実に技巧的。その〝見立て〟を支えているベースの使い方は徹底的であり、1つの用途で終わらせず、更なる意味合いを含ませる使い回し方が憎らしい。トリック自体に何重の理由を絡ませることで、〝単発で終わらず〟にオリジナルティの強いトリックになっている。
ユニークに溢れた本格ミステリである。

No.1 7点 交換殺人には向かない夜- 東川篤哉 2015/10/24 13:09
タイトルにある通り、テーマは交換殺人であるが、従来の形式とはやや調子の外れたユーモアのなかに潜ませている巧妙さがある。交換殺人の全容が見えてきたところで、唐突に披露されるメイントリックの破壊力。気の抜けた隙を狙ったかのようなタイミングが光る。コメディ調を崩さず、真相を隠蔽しつつ、不意を突いて襲ってくるトリックの切れ味は凄まじい。3つの視点を交錯させることで、強烈な演出を成功させている。単に〝一人二役〟トリックではなく、〝一人三役〟トリックである点に、時間軸を動かすトリックを直接的に絡ませることで、技巧的にパワフルなサプライズを生んでいると言えるだろう。交換殺人の全貌が明らかになった後の、犯人たちへの凄まじい皮肉も小気味いい演出であるが、些か解決篇が答え合わせのように事務的な流れになっているのが惜しい。爽快感はあるにしても、ややアッサリしている印象は拭い切れず。そういった点も含めても、傑作の部類に入ることに疑いの余地はない良く出来た一冊である。

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505さん
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採点傾向
平均点: 6.36点   採点数: 36件
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