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505さん |
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平均点: 6.36点 | 書評数: 36件 |
No.2 | 7点 | 君の望む死に方- 石持浅海 | 2015/11/06 00:52 |
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傑作倒叙ミステリ『扉は閉ざされたまま』の続編。
本作は一癖ある倒叙ミステリである。特徴として、犯人の視点を交えつつ、被害者がメインに据えられている。被害者は『殺される』ことを望み、犯人は『殺す』ことを求めており、互いにその願いを叶えるために努力をする描写に力を注がれている。被害者は作中で〝演出者〟と表現される通り、被害者は犯人を動かすように、一歩先を行っているシーンが丁寧に描かれており、人間を意のままに誘導する試みを一貫として表現されている。 犯人と被害者の思惑は一致しているという奇妙な構図ですが、そこに探偵役が絡むことでスリリングな遣り取りが静かに進行していることが見受けられる。探偵は探偵なりの遣り方で動いており、それが犯人と被害者の計画に予想外の結果を齎す。その過程が静的に描かれながらも、その〝攻防〟自体には目を見張るものがある。 前作に比べると、動機面やロジックの部分でインパクトというものはやや欠けるものの、倒錯したラストは〝見事に裏切ってくれた〟感覚が残滓として残り、ミステリならではの〝反転〟の構図が皮肉に映る素晴らしさがある。 探偵を含めた『極端な正当化』による歪んだ人間心理が及ぼす行動は凄まじいものがあり、動機面といった心理描写において『独特』な石持浅海ならではの佳作と言えるのではないだろうか。また、探偵が〝事件が起きる前に事件を予見する〟という極限的な試みをスマートに纏めている点もミステリの観点から外すことは出来ない。そういった悪魔的な探偵を以てしても、他人の思考を完全にトレースするのは不可能であることは作中でも示されている通りであるが、〝当事者ではないからこその視点〟の興味深さが根底としてある。ある意味、それこそが人間観察に怪物的に優れた探偵役の特徴であり、〝限界〟でもあることを作中で示してあるのは非常にユニークだと言える。 |
No.1 | 6点 | 月の扉- 石持浅海 | 2015/09/28 19:29 |
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佳作であり、意欲作。
ハイジャックものとしての緊張感には欠けるものの(この点では致命的) 、事件中に起きた事件として特殊なクローズドサークルという面は実験的であり、趣向を凝らしていると言えるだろう。 何故殺されたのか、というホワイ・ダニットの部分がハイジャック事件と巧妙に絡み、その真相が見え難くしているところがポイント。 誰が犯人なのかよりも、何故その手段を採ったのか。そこの塩梅が実に良い。 ハイジャックを起こした動機面は幻想的すぎて理解が追い付かないが、結末はとても筋が通っており、それ以外の終わらせ方は適当ではないと感じる。ハイジャックと密室を融合させた筆力は疑いの余地は無く、幻想的な話を加味することに成功している |