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了然和尚さん
平均点: 5.53点 書評数: 116件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 5点 人形はなぜ殺される- 高木彬光 2015/12/13 13:09
完璧なアリバイがあると思われる関係者が、一つ大きな仕事の後で大食いしてるところで犯人であると見当がつきました。犯人がわかれば、「人形はなぜ殺される」の意味にたどり着くわけですね。同機も第一の犯行をからめて推測できるのですが、登場人物が被害者一家の財産所有を否定したのは、ちょっと反則ですね。
自分の推理どおりの展開で、7点ものの楽しさだったのですが、探偵が間違えてしまうという、残念な話になって、マイナス2点です。間違った推理に費やされたページは、最後の殺人において、AプランからBプランに切り替わったあたりをもう少し描いたほうが面白くなりそうですね。
第一の殺人において、精神病院にいきつくまでは、読者も犯人は推定しえない。この状況において神津先生は、データが足りないと言って全くやる気がなく、精神病院訪問で、結果的には首なし死体の首(の部品)と遭遇している。この辺りの本格推理の構成が素晴らしいですね。

最後の結婚式のシーンで、ぶち壊せと命じられた松下君は何か因縁をつけていましたが、突然花嫁にプロポーズして逃げていく(「卒業」ですな)シーンを空想してしまいました。本作の映像化の時は、ご一考を。

No.1 6点 刺青殺人事件- 高木彬光 2015/11/28 19:56
本サイトで人気の「人形」の方を読む前に、ちょっと復習で35年ぶりぐらいに再読。角川S48年版です。メインの双子に関するトリックと密室の仕組みは35年間記憶してました。犯人の相方の方と、動機周りの状況は忘れていましたが楽しめました。犯人のアリバイがしょぼすぎて、死体の密室への持ち込みという工夫まで曇らせてる感じがしました。こんな、単純なごまかしのアリバイならむしろない方がいい感じでした。構成要素はいいと思うのですが、「なんでこれがこうなる必要があるのかな」みたいな、まとまりの悪さが気になるデビュー作でした。
神津恭介もちょっと淡白に表現されている感じで物足りない登場に思えましたが、そういえばD坂の明智も本陣の金田一もこんな雰囲気でデビューしてたなと思い出しました。

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了然和尚さん
ひとこと
本格ミステリーを中心に研究しています。
古典のビッグ4である クリスティ、クイーン、かー、クロフツを再読を含めて全部読破が目標です。

「気ちがいじゃが仕方がない。」
好きな作家
採点傾向
平均点: 5.53点   採点数: 116件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(30)
カーター・ディクスン(15)
松本清張(13)
ジョン・ディクスン・カー(10)
F・W・クロフツ(9)
エラリイ・クイーン(8)
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