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江守森江さん
平均点: 5.00点 書評数: 1256件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.21 5点 探偵Xからの挑戦状!Season2- アンソロジー(出版社編) 2011/02/04 23:23
NHKからSeason3の放送決定メールが配信されたのに合わせるようにSeason2の携帯小説が文庫化された。
携帯小説を読んでいたかは兎も角、NHKでの放送を観ていたならば本書の存在意義は薄い。
今回は推理クイズ企画に相応しく全4編が書き下ろしだった。
辻真先作品は捻りも抑えられた凡作だが、クイズとしての不満は少ない(作者らしいメタな趣向で驚かせてほしかった)
近藤史恵作品は重要と思える伏線を2つ放置した儘で理不尽な解決になってしまいネットでも不評だった。
井上夢人作品は解決に必要なピースの全てを明示した為に小説形式の論理パズルで終わってしまった(陰の伏線をピースの一つに絡めたらエラリー・クイーンのドラマ並みになったかも?)
我孫子武丸作品はSF設定なルールでの問題で、ルール運用の微妙さから2chスレでは少なくとも2つの別解が論理破綻なく成立していた。
推理を楽しむ企画自体は大好きだが、ネットで侃々諤々される時代に、視聴者挑戦に耐えうる作品が簡単に生み出されるハズもなく、結局いちゃもんを楽しむ企画になってしまうのが残念。
作品に接していない方にはワンコインでお釣りもくるし、ネットで侃々諤々を振り返る楽しみもありお得かも。

No.20 5点 本格ミステリ02- アンソロジー(出版社編) 2010/07/15 10:14
二年目の飛躍を狙ったのか?やたら分厚いノベルスになった。
短編17・マンガ1・評論3とベストと銘打つならもう少し厳選してほしかった。
その反面、ダラダラと選んだおかげで、普段馴染みが薄く手にしない作家やこのアンソロジーでしか読めない作品が混ざっていて出版意義が生じた。
それでも、図書館の棚に01から09まで、ほぼ貸し出されずに並んでいるのが出版意義の低さを物語っている。
私的には、倉知淳「闇ニ笑フ」を読めた事だけが収穫だった。

No.19 5点 本格ミステリ01- アンソロジー(出版社編) 2010/07/15 09:55
本格ミステリ作家クラブ発足記念なので力が入っているのは間違いなく、初年度からベスト短編をネットや機関誌的な「ジャーロ」発表のみには出来なかっただろう。
短編13(鮎川哲也に因んで敢えて数合わせしたのか?)に評論3はベストとするには多い。
普段は読まない作家の作品を読めて便利な反面で、作者独自の短編集で読むべきシリーズ作品も多い。
その時代の本格ミステリ・シーンを知る資料としての価値はあるが、今更読み返すほどのものではなかった。
※以降の年度では、このアンソロジーでしか読めない埋もれた作品があるが、この年度は無いと思う(詳細不明)

No.18 6点 ホシは誰だ?- アンソロジー(出版社編) 2010/06/22 08:06
ネタバラシ推理クイズの帝王・藤原宰太郎の本が多数売れて成功した影響で、当時を代表する推理作家陣に推理クイズ小説集を書かせた企画は良かったのだが、知名度から来る期待度と作品レベルのギャップは大きい。
現在、一番入手し易いのは文春文庫版(16編収録)だろうが、オリジナルから土屋隆夫作品がカットされているらしい(そちらは未見なので詳細不明)
企画自体が好きなので無条件に6点としたが、作品のデキはネタバレの無い藤原宰太郎の推理クイズといった感じで褒められない。
さらには(現在では間違いと認識されている等)書かれた時期の世間常識を考慮しないと正解に到達できない作品まであり隔世の感を禁じ得ない。
その意味では都筑のSF設定な作品なんかは時代に左右されずに良いのかもしれない。
もう少し推理クイズでなく小説寄りだったら良かったかもしれず惜しい。
逆の意味で、少々の穴や古さも推理クイズと割り切り、緩〜い気持ちで楽しめば気にならない。

No.17 5点 蝦蟇倉市事件2 - アンソロジー(出版社編) 2010/04/24 18:55
このアンソロジーではなく、普通に独自の作品集で「さよなら妖精」の後日談を発表していれば、もっと高評価だっただろう。
せめて、不可能犯罪物とストーリーの反転系で1・2を纏め直し反転系の方に収録されれば据わりは良かった。
1に収録の大山誠一郎作品からキャラや不可能犯罪路線を引き継ぎ八百屋お七オチをかます村崎友、この作品を締めにしたい秋月涼介、バークリー・毒チョコのパロディな桜坂洋は企画に適していて良かった。
北山猛邦は本来の物理トリック作品の方がアンソロジーに馴染んだと思えるし、越谷オサムも反転系に収録するべきだった。
企画意図と収録バランスが滅茶苦茶な為に、水準レベルな作品を揃えながら纏まりを欠き据わりが悪く残念(上手く収録してたら各編1点以上加点可能)
※楽しむ為の読者側の工夫
1・2を続けて読み1シリーズと捉え、脳内で収録順を入れ替えれる事を勧める。

No.16 5点 蝦蟇倉市事件1- アンソロジー(出版社編) 2010/04/22 13:37
不可能犯罪が多発する架空の地方都市を舞台にする縛りによる書き下ろしアンソロジー。
作家毎の推敲時期に幅があり、企画段階から出版に至るまで三年以上経過している(なんとかお蔵入りを回避した感じ)
道尾は、普通に上手いのだが、短編での騙しは長編に比べ何か物足らない。
その道尾作品を読んで設定を自作に取り込む伊坂は手馴れたもの。
福田栄一も、教授を尋ねる辺りで狙いが透けるが読ませる点で同系統。
しかし、これらは不可解な事件ではあるが不可能犯罪ではなくテーマに即していない。
一方で、相変わらず不可能犯罪に拘る大山誠一郎は、所々発想に素晴らしさが垣間見えるが全体的には現実味の薄いバカミスになり、それを読んだ伯方雪日(格闘技ミステリのファンには作品が発表されるだけでも嬉しい)が同系統で締めた。
各作品単独ではどれも「可もなく不可もなし」で、縛りを考えれば関連性もこの程度で仕方がないのだろう。
あとは2も含めた収録と掲載順で、作家に責任はなく出版社の販売戦略と編集者のセンスの問題だろう。
私的な見解では、ネームバリューによる売上バランスを無視して大山・伯方を2に廻し、2では噛み合わない米澤と1でも問題ない北山を此方に収録すれば纏まり良くなっただろう(←1は売れるが、2は売上不振間違いない)

No.15 3点 学び舎は血を招く- アンソロジー(出版社編) 2010/04/21 02:09
雑誌メフィストに連載された学園ミステリ・アンソロジー。
アンソロジーとしての縛りが学園ミステリであるだけの緩さなのに、雑誌掲載だけでなく出版される事を疑問に思う作品が揃った。
竹本健治「世界征服同好会」はラストの反転を含めて出版に値するだろう。
門井慶喜「パラドックス実践」は理屈っぽさを気にしなければ水準レベルだが、シリーズを書き足して独自の短編集になったので、そちらで読めばいい。
楠木誠一郎、福田栄一、日日日は雑誌掲載が限界なレベル。
さて、この本を手にするキッカケの「古野まほろ」だが、書かれた時期がデビュー作と同時期な為に、短編なのに読むことが苦行になる作品で、素晴らしいロジックが炸裂するのを楽しめる読者がどれだけ居るのか?甚だ疑問だった(ある意味、雑誌掲載すら暴挙)
但し、ロジカルな持ち味は存分に発揮されているので「天帝のはしたなき果実」で作者を気に入った奇特な方限定なら楽しめるだろう。

No.14 4点 Anniversary50- アンソロジー(出版社編) 2010/03/10 05:46
新たなる半世紀に向けて!カッパ・ノベルス創刊50周年記念作品。
綾辻・有栖・大沢・島荘・道尾・宮部・森村・横山・他一名(田中だけじゃ判別不能)の豪華執筆陣。
しかし「50」をテーマにした緩い縛りすら効果的に利用しない作品ばかり。
光文社への義理で仕方なくやっつけ仕事しました的作品が揃ってしまった。
本来なら最低手前な3点だが、横山「臨場」のシリーズ継続が嬉しい、巻末のカッパ・ノベルス・リストは眺めるだけでも懐かしい(合わせて+1点)と救いはある。
それでも、わざわざ買う程の物ではないと断言する。

No.13 3点 7days wonder- アンソロジー(出版社編) 2009/10/10 18:18
紅桃寮・404号が「開かずの間」・7日間限定!の共通設定で書き下ろされたアンソロジー。
執筆陣も含めてラノベ・ミステリーで、設定に対する書き込みが甘い。
本格色の濃い谷原秋桜子作品に気付きの部分で見所はあったが全体的に大人が読むレベルには達していない。
中学生辺りのミステリー入門なら良いかもしれない。

No.12 3点 探偵Xからの挑戦状!- アンソロジー(出版社編) 2009/10/06 11:13
NHKで、テレビ番組と携帯小説を連動させ、視聴(読)者挑戦した企画の小説を纏めたアンソロジー。
企画その物はミステリ読者以外の一般視聴者からも絶賛され2ndシーズンに継続中。
最初に、この手の企画に旧作をそのまま堂々と提供した山口雅也の姿勢を糾弾したい!(ミステリ作家失格だ!)
但し、作品自体は一番まともなのが皮肉で、それ以外の作品は挑戦物として突っ込み所だらけだったり、納得しかねる解答編が用意されていたりと悪い見本としてバラエティーに富んでいる。
DVDに文庫と、この"デキ悪"を商品化してお金にする姿勢にはホトホト呆れる。
企画だけなら嗜好のど真ん中なのだが、制作姿勢を糾弾する採点にした。

No.11 7点 9の扉 リレー短編集- アンソロジー(出版社編) 2009/08/25 21:45
執筆者が次の執筆者を指名し、「お題」を手渡すリレー短編集。
ミステリ的にそうそうたる執筆陣が九名揃ったが、ミステリとしての縛りが無く本格を期待すると肩すかしをくう。
縛りが「お題」のみと緩いので各作者の個性が活きている。
しかも、企画設定が絶妙なので一冊の本としての存在意義は大きい。
「お題」以外も各作者が設定を引き継いだりして相乗効果もある。
貫井の設定を生かして何度も捻ってくる歌野は、らしさ全開。
そして、特筆すべきは「お題」のダブルミーニングに捻りを加えて処理し、先頭の北村に一周する形で戻したトリの“辻村深月”の素晴らしさだろう。
初読な作者だったので、この本で出会えた事に感謝したい。

No.10 6点 本格ミステリ03- アンソロジー(出版社編) 2009/07/30 20:33
この年度は粒ぞろい。
しかも、この本でしか読めない作品もある。
※埋もれたフーダニットの傑作。
大山誠一郎「彼女がペイシェンスを殺すはずがない」
※助産師シリーズの単行本未収録作品で現状は最終話。
青井夏海「別れてください」
以上2作品だけでも充分満足できた。

No.9 5点 本格ミステリ04- アンソロジー(出版社編) 2009/07/30 20:20
一冊に纏まっていない東川篤哉“霧ヶ峰涼シリーズ”の初作品で読むべき順番の制約を受けるトリックが使われた「霧ヶ峰涼の屈辱」は埋もれているのが惜しい(この本でしか読めない)
その他の作品に興味があればネット検索して下さい(作家別の個別作品集で読む事を薦めます)

No.8 4点 本格ミステリ05- アンソロジー(出版社編) 2009/07/30 17:01
例年に比べレベルが低いとは思わないが、今更ここまで遡ってアンソロジーで読む意義は薄い。
取り分けこの年度の高レベル作品は個別作品集に纏まり、埋もれた傑作は収録されていないと思う。
気になる作品があるなら一冊に纏められた連作短編集で読むべき(伯方雪日「覆面」等)

No.7 5点 本格ミステリ06- アンソロジー(出版社編) 2009/07/30 03:57
(最新事情を知るため)毎年度読んでいる。
更に、個別に作品集になってから再読する作品が多数ある。
テーマのあるアンソロジーではなく年度のベスト集である。
よって、各作品は個別の本で書評したい思いが強い。
東川篤哉「霧ヶ峰涼の逆襲」は未だに一冊に纏まっていないのが残念(埋もれて未読なシリーズ作品もあり一冊に出来る分量もあるので是非出版を!)
新たな作家を見付けるには良作揃いなので“この本”から読書の輪を広げてみては・・・。

No.6 5点 本格ミステリ09- アンソロジー(出版社編) 2009/07/28 16:24
本格ミステリ大賞と平行する型で前年発表短編作品のベストを選んでいる為に書き下ろし短編が選考されない欠陥がある事に乾くるみ作品を見て気付いた。
しかも、この本の発売より先に作家毎の個別作品集に掲載されて出版されている作品が多数あり一冊に纏めて出版する意義が薄れている(機関誌ジャーロで選抜した作品名の発表をするだけで良いと思う)
それでも、本格ミステリの今を知る為に手にしてしまうのがミステリ読者の性かもしれない。

No.5 5点 本格ミステリ08 - アンソロジー(出版社編) 2009/07/28 16:11
敢えて採点してはいるが、この手の年度別ベスト作品集の各作品は作者毎に個別な短編集になってから評価するべきだと思っている。
私的には図書館で借りて眺めながら未読の作家の発見や、読者として本格ミステリ界の流れを掴む事に活用すべき本だと思う。
この本一番の読み所は各作品手前の作者コメントだと思っている(一冊に纏まった本では読めない)

No.4 5点 本格ミステリ07- アンソロジー(出版社編) 2009/07/28 15:53
本格ミステリ作家クラブは、発足と同時にベストな長編(連作短編集含)に大賞(ノミネート)、短編には"この本"への掲載で評価してきた。
長所は年度の本格ミステリ短編をまとめて読める便利さ(未読の作家に出会える)
短所は連作短編の一部を選択掲載する作品が多々あり、改めて纏められた連作短編集での楽しみが激減する事。
各作品より本格ミステリ大賞の選考過程など巻末をじっくり読んでしまう。
強いて言えば選ばれた短編全てが素晴らしいとは限らない。
※裏技かな?
ノベルス購入せず何年後かの文庫化時に購入(応募券付)して本格ミステリ大賞公開開票式に参加してみては!(競争率低い模様)
贔屓作家とお喋り、記念撮影等のお楽しみ有。

No.3 6点 競作 五十円玉二十枚の謎- アンソロジー(出版社編) 2009/06/05 21:39
この企画の問題編は日常の謎系なのに解答編のプロ作家はガチ本格作家達・・・、その割に無難にこなしている。
当時の創元社系本格作家の楽屋落ち話が楽しい。
一方応募作は佐々木(倉知)の猫丸先輩デビュー作にこの先の開花が伺える程度でパッとしない。
ある意味作家のレベルを知る参考にもなる作品集。

No.2 7点 あなたが名探偵- アンソロジー(出版社編) 2009/05/30 05:39
《はじめに》
同一タイトルで別物なアンソロジー(書籍)が二つ存在する(当サイトのリンクの問題で例外的に一つの書評に纏めています:登録時シリーズ欄に出版社名を記入し同一タイトルを二つ登録する方法は遠慮した)
※東京創元社編
ミステリーズ!(雑誌)で連載した読者挑戦企画作品を纏めた物。
連載時、単行本、そして最近文庫化と触れるチャンスが増えたのは喜ばしい。
読者挑戦物好きな方は是非。
【ネタバレかも?】
芦辺拓「読者よ〜」は私のHNの由来の一端。
※講談社文庫編(こちらがAmaの初出とリンク)
西村京太郎、他豪華執筆陣(手にしてビックリ?)
犯人当てショートミステリーで読者挑戦が19問(最後に解答記入欄あり)
解答編は後方に纏めてあり(一応袋とじ)採点して探偵度まで判定できる。
結構楽しめる本。

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江守森江さん
ひとこと

※「読書(ミステリ)は趣味で娯楽」「相容れない主張(嗜好)は、どこまでも平行線」を標榜している。
※多くの作品に接する努力として、映像化作品で済ます等々、ファジーな方法を常に模索している(本質的...
好きな作家
高木彬光、天藤真、平石貴樹、古野まほろ (ミステリーに限定しなければ一番は梶山季之...
採点傾向
平均点: 5.00点   採点数: 1256件
採点の多い作家(TOP10)
雑誌、年間ベスト、定期刊行物(52)
高木彬光(32)
アガサ・クリスティー(30)
梶山季之(30)
東野圭吾(28)
事典・ガイド(26)
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク(23)
芦辺拓(21)
アンソロジー(出版社編)(21)
評論・エッセイ(18)