皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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abc1さん |
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平均点: 4.32点 | 書評数: 80件 |
No.5 | 9点 | ミステリー・アリーナ- 深水黎一郎 | 2015/10/18 15:33 |
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正直絶句した。
何を書いてもネタバレになりそうだが、今後多重解決モノで、これを超える作品が現れるかどうかは疑問だ。 それくらい「やり尽くした」印象がある。 一昔だったら、これ一冊に詰め込んだアイディアで15冊のミステリーが書けただろう。 普通は探偵が行う「可能性潰し」を、この作品では作中作が行っていく。 従って展開がスピーディーで、読み始めたら途中で止めるのは困難。 15も解答があれば、中には「軽い」ものもあるが、真相が次々と、まるでパタパタと風に翻るパネルのように変わっていくさまは圧巻。 さらに大きな枠組みでの愕きまで用意されていて、作者のサービス精神に感服する。 (付記) 本作とほぼ同時に「その可能性はすでに考えた」を読んだのだが、本作のせいで向こうが霞んでしまった。 また本作を「虹のハブラシ」と比較されている方がいるが、その比較はあまり有効とは思えない。 何故なら「虹のハブラシ」は正確には多重解決とは呼べないと思うからだ。 らいちの素性が若かろうが老婆だろうが、事件の結末が変わるわけではない。 つまりあれは単なるらいちの「多重素性」であって、本作と比べること自体が無理だと思う。 ただメフィスト賞のテイストが脈々と受け継がれていることは嬉しく思う。 |
No.4 | 7点 | 言霊たちの夜- 深水黎一郎 | 2012/09/09 22:02 |
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言葉をめぐる四つの短篇。各編にはゆるやかなつながりがあります。清水義範の作品を連想させますが、清水義範よりも面白くて深いです。
でもミステリーではないのでこのサイトではこれくらいの点数か。 |
No.3 | 8点 | 花窗玻璃 シャガールの黙示- 深水黎一郎 | 2011/01/09 16:14 |
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字面を含めた文章が美しく、大トリックも炸裂していたので普通に面白かった。裏の構成とか関係なしに読んで充分傑作の部類に入ると思う。 |
No.2 | 9点 | トスカの接吻- 深水黎一郎 | 2009/04/02 13:11 |
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巻末の参考文献にはイタリア語の原書が並んでいるが、私自身オペラが好きでオペラ関係の本をけっこう読んでいるが、本書はどこにも書いていないような新情報が満載で、目からウロコが落ちる思いがした。それがミステリの構図と見事にマッチしているのだからもう文句のつけようがない。オペラ好きならば必読の書だろう。一点減点にしたのは、犯人を当てるのがちょっと難しすぎるということだ(それだけ意外な犯人ということでもあるのだが)。 |
No.1 | 9点 | ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!- 深水黎一郎 | 2008/09/24 13:21 |
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面白かったです。超能力を出したら何でもありになってしまうという意見はもっともですし、事実これが超能力で人を殺す話だったら糞でしょうが、この作品ではそれが逆になっているのがナイスアイディアです。今までこの手の作品で、読み終わって自分が犯人だと思えたことは皆無でしたが、この作品は確かに自分が犯人だと思いました。それだけでも凄腕です。 |