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ことはさん
平均点: 6.56点 書評数: 103件

プロフィール高評価と近い人 | 書評 | おすすめ

No.103 7点 白馬山荘殺人事件- 東野圭吾 2021/04/03 23:59
東野圭吾作品で一番愛着のある作品。
初期作品だからだろうけど、東野圭吾では珍しく作者の思いを感じる作品。
出版された当時に読んで、期待して何作か読んだけど、以降の作品は(少し冷めた)”職人”になってしまって、継続してよむことはしなくなってしまった。
冒頭の人物の属性に関することに触れている書評がいくつかありますが、出版が綾辻以前であることを考えると、こなれていないことより、先進性を評価すべきだと思いますね。綾辻以前の出版当時に読んで、面白い趣向だなとワクワクしました。

No.102 7点 秘密- 東野圭吾 2021/04/03 23:46
これは東野圭吾作品では、人物描写が濃厚。ラストは個人的にはぴんとこなかったけど、いいなぁと思うシーンがいくつもある。
でもミステリではないよなぁ。

No.101 8点 ある閉ざされた雪の山荘で- 東野圭吾 2021/04/03 23:40
(10作くらいしか読んでないですが)東野圭吾の中で一番好き。
やはり、語りの仕掛けが好き。これは好みだなぁ。この仕掛であの部分やあの部分がアンフェアにならないという、この反転がいいよねぇ。

No.100 6点 悪意- 東野圭吾 2021/04/03 23:34
このサイトで評価が高い東野作品の中で、未読なので読んでみた。プロット展開は二転三転して最後まで面白く読めたし、文章もするする読みやすい。
東野圭吾の特徴がよくでていると思う。
でも、悪い点でも、東野圭吾の特徴がよくでているかなと思う。(10作くらいしか読んでないですが)
たとえば、「文章表現として”いいなぁ”と思う点はない」「(好みかもしれないが)キャラクター描写はいまひとつ(イメージがわかない)」「登場人物の心理が迫ってこない(迫真性がない、よくわからない)」など。
東野圭吾は私の感覚では技術力のある”職人”なのだが、作品に対する思い入れがほとんど感じられない。カーなどは失敗作でも「これがやりたかったんだな」と思わせる部分があるのだが、東野圭吾はそういうものが感じられないため、熱心に応援しようという気にならないんだよな。でも(”職人”だけあって)駄作もないんだけど。

No.99 7点 原罪- P・D・ジェイムズ 2021/03/14 15:11
ミスキン警部を追いかけようと(登場人物一覧にミスキン警部がない「策謀と欲望」はとばして)原罪に手をだしてみた。
読んてみると「死の味」に対する言及も複数箇所あり、本作でミスキン警部が最初に出るシーンは「死の味」の直後の感じが濃厚にあり、シリーズ的には、完全に「死の味」の次作となっているように思える。
「死の味」以前の作品は「罪なき血」以外は読んでいるが、今まで読んだジェイムズ作品では、「死の味」よりさらに読みやすく、間違いなく一番面白かった。
今回、出版社が舞台ということで(家族関係が主になっていなく)、事件関係者視点の部分もいろいろな動機が蠢くミステリとして読める。これまでのジェイムズ作品では、一番文学味を感じなかった。今回6割ほどが事件関係者視点なのに、一番ミステリだと思った。
キャラクター描写も冴えていて、アリバイを証言する子供(人物表にない)などは、頭がよい、かつ、子供であることを両立させていて、実に魅力的。
ラストもなかなか意外。途中のあのエピソードがフィーチャーされるとは。ミステリ的カタルシスは無い意外性であるところは、やはりジェイムズだなぁと思うけど。
ラストシーンは、ダルグリッシュよりもミスキンに寄った描写になっていて、ここも個人的には好感触。作者はミスキンの方に心情的に寄り添っていそうで、次回以降もミスキンの活躍が期待できそうだ。
いやいや、これは、今後のダルグリッシュ&ミスキンものも楽しみだ。

No.98 5点 死の味- P・D・ジェイムズ 2021/03/14 15:09
他の方の記述にもでてくるが、確かにこれはジャンル分けするならば「警察小説」だ。
事件が起き、捜査が行われ、犯人がつかまる。しかし、ミステリ的興趣、謎に対する興味、謎を追う冒険感、謎が解けたときのカタルシスなどは無い。事件は警察の操作で解決される。
ミステリ観点からは否定的にみえるコメントになってしまったが、今まで読んだ(「死の味」以前の作品は、罪なき血以外読んでいる)ジェイムズ作品では、断然読みやすかった。
これは、間違いなく捜査側をチームとし、複数視点を導入したためだと思う。特にダルグリッシュは、捜査陣の視点からどうみえるかが書かれたことで、キャラクターイメージがくっきりしたと思う。検死医などについてもシリーズ・キャラにしようという目論見が濃いので、作者もかなり意図的に、捜査側をチームとして描こうとしていると想像する。
ただし、「警察小説」といっても半分だけで、残りは家庭内ドラマだ。
視点は三人称他視点だが、警察サイドでない視点が半分を占める。この部分、つまらなくはないのだが、やはりあまり好みではなかった。「警察小説」側だけで書いてもらえば、私の評価は上がるのだが、それだとジェイムズの個性が薄れてしまうしなぁ。
とはいえ、ミスキン警部は印象的なので(後続作の人物表をみると、シリーズ・キャラとして定着するようなので)継続して読む気にはなった。

No.97 8点 オランダ靴の秘密- エラリイ・クイーン 2021/01/23 17:07
創元推理の新訳で再読。
あぁ、これが良い謎解きミステリの読み心地だなぁと思う。推理の「これしかない」感が、クイーン作品でも最上位だ。再読してあらためて感じたのは、終盤のよさだ。エラリーが手がかりを掴んでから後の展開は、演出もよく一気に読める。ここはいいなぁ。
それに法月の解説がよい。ひとつひとつ説得力がある。特に「なるほど」と思ったのが、兼業作家/専任作家に目をつけて、作風が変わる("推理中心の小説"はオランダまでの3作目まで)というところ。ローマ、フランスを再読したのも、これに触発されて、3作を間をあまり開けずに読んでみたかったからというのが実際のところだ。
これをふまえて全体の構成をみてみると、3作とも、事件発覚から捜査が始まり、初日の操作が完了するのは、半ば過ぎ。オランダでは200ページくらいで、ローマ、フランスと似たようなボリューム感だ。その後、捜査の手が広がり、この部分が150ページくらいで、残りが解決編になる。こうしてみると、ローマ、フランス、オランダまでの3作は、同様の枠組みの中に、違う趣向を盛り込んだのだと思える。そしてこれ以降の国名/レーン4部作は、確かに同様の枠組みのものはなく、ここまでが兼業作家クイーンだったのだなぁと思わされた。
気になった点もいくつかあげてみよう。
まずは、事件の捜査が単調かな。フランスでは少しずつ事件の全貌(当日になにがあったのか?)がわかっていくのだが、オランダでは事件の全貌はシンプルで、捜査の後半は事件の背景(家族関係、仕事関係の人間関係と、動機の可能性)になっている。私の好みでは、ここがやや単調だった。
また、推理についても質はよいが、ボリュームが少ない気がする。クイーンの最高傑作に押す人もいるが、私の好みでは、この点で国名シリーズの最高作にはならないなぁ。
それでも、「謎解きミステリ」の典型としてあげるなら、確かに「オランダ靴の謎」は最適の1冊であることは再確認できた。

No.96 7点 悪の起源- エラリイ・クイーン 2020/12/14 00:09
ン十年ぶりの再読。
プロットは、このころのクイーン好み。構想は面白いが、事件のつなぎの調査が、どうも退屈で夢中になれない。最後の落とし所も、意外ではあるが、もう一度全体を振り返って考えてみると、どうもいろいろ腑に落ちないところがでてきて、傑作というわけにはいかない。
それでも、クイーン好みの構想は好きなので(ここが面白がれないと、そうとうこの話はつまらなく感じると思うが)、点数は甘めです。
また、クイーン作品では、かなりキャラクターが印象的な作品。個々の人物に際立った個性がある。
「災厄」などは、キャラクターは掘り下げてあるが現実にいそうなキャラクターだが(「災厄」それがよいのだが)、本作は現実にはいないようなキャラクターばかり。
(ここから、プロットの構造のネタばれ)
そこで、ふと気づいたのが、この作品「十日間の不思議」と似ていないか?
似ているところと、ちょうど相反するところがいろいろあり、表裏をなすようにみえる。
似ているところは「キャラクターの個性的なこと」「人間関係(二人の男と一人の女)」「不可解な事件が起こっていく構成」「解決編の構成」。ちょうど相反するところは「解決時の探偵の立ち位置」「犯人の扱い」「リンクの元が宗教的/科学的」「人間関係のパワーバランス」。
北村薫が、どこかで”「十日間」「九尾」「悪の起源」で探偵エラリイの挫折から復活を描いた”といったような記述をしていたと思うのだが、忘れてしまった。「十日間」との類似をふまえて改めて読み直したいのだが、どうにかわからないかなぁ。

No.95 5点 ビール職人の醸造と推理- エリー・アレグザンダー 2020/10/18 01:21
ミステリとしては、2、3点。もうね、ミステリはただの風味付け(笑)。
これは、ビール醸造所のお仕事小説です。(と思っていたら、2作目の解説に「お仕事小説」とあった。そうだよね)
ビール醸造所のお仕事小説としては、(2作目も読むつもりになったくらいには)面白かったので、間をとってこの点で。
あ、ミステリ・ファン(ミステリを期待する人)は読む必要なしです。
アメリカのコージー派って、この手ののりなのかも! 仕事を変えれば色々できるしね。それはそれで面白そうだけど、ミステリではないよなぁ。

No.94 5点 七人のおば- パット・マガー 2020/10/18 01:13
ドメスティック・サスペンスとでもいえばいいのか。登場人物たちの人間関係でじっくりよませます。
メインの趣向の「殺人者の正体」については、なるほどと思いましたが、どうも琴線にひびかない。
良く出来てるんだけど、なぜだろう? なにかが好みと違うのでしょう。

No.93 5点 ウェンズ氏の切り札- S=A・ステーマン 2020/10/18 01:04
うーん、これはだめだ。
併録の「ゼロ」のメインの仕掛けは、(いまでこそよくあるが)時代を考えると、実に先進的だ。仕掛けのアイディアはよい。
でも、小説としてどうなの? と思ってしまう。
(とくに「ウェンズ氏の切り札」に顕著だが)セリフとアクションだけで、描写が無い。人物描写、心理描写、風景描写が無い。また物語をすすめるエピソードも面白みがない。小説として面白くない。他のステーマン作品も、そんなイメージだったな(昔過ぎて朧な記憶ですが)
ミステリとしてのアイディアはいいけど、それだけの作品。幻の……となるわけです。
ま、アイデイアはよいので、加点してこの点数かな。

No.92 8点 恐怖の誕生パーティー- ウィリアム・カッツ 2020/10/18 00:52
昔々に、なにかで好評を読んで、買っておいたものを、ふと読んだので、予備知識ゼロでした。
予備知識が無く、読めてよかった。傑作。
序盤の不穏な情報から、少しずつサスペンスが高まり、終盤クライマックスへ。エピローグも漫然とすることなく、サスペンスの傑作。
ま、ネットの感想で「B級……」と言われてしまう雰囲気もわかるので、それが「幻の女」級の名作にはなれなかった原因かな。
終盤、ある人物がある物を修正するのだが、そこを読んだときは「それはちょっとなぁ」と思ったが、理由が明かされたときは「なるほど!」と感心した。似たような趣向は既読だが、心理的理由との絡め方はオリジナル。これはいい。
これこそ予備知識が入ってしまうと、興味が半減してしまいそうなので、今から読む人は、是非ネットの情報を取得すること無く読んで欲しい。

No.91 8点 フランス白粉の秘密- エラリイ・クイーン 2020/10/17 21:22
創元の新訳で再読。初読時の印象は相当良くて、国名シリーズでは一番好きだった。
ローマ帽子と比較すると、全体の構成はかなり似ていることがわかる。事件発覚から捜査が始まり、初日の操作が完了するのは、300ページになったところ。前半は操作の段取りをみせることですすみ、それがかなりの量を占めることは同様の構成だ。
ローマ帽子から改善されているのは、捜査の段階で数々の手がかりが提示されて、興味を引くこと。例えば、途中まで塗られた口紅、他人の口紅が残っていたこと、タバコの吸殻、置かれていた不自然な本、ブックエンドのフェルトなどなど、たくさん。
これらのたくさんのパーツからどのような絵が描けるか、色々考えさせられて、ここが楽しい。これが楽しめないと初期クイーンは楽しめないかな。
そして、1日の捜査の最後に、エラリーから推理の一部が披露されて、ここで手がかりのいくつかは、きれいにかちかちと嵌っていく。整理の快感というべき楽しさ。これが謎解きミステリの楽しみだなぁと、あらためて思う。
面白いのと思ったのは、置かれていた不自然な本の理由があかされるところ。黙っていた理由が、彼女のためで、構成から考えると、恋人同士の設定は、この告白を後ろにもっていくためだけに思える。
今回の再読では、最後の推理の決め手が弱いなぁと感じたので、若干記憶より評価が下がったが、やっぱりこれは好きだな。
謎解き以外には、キャラ立てや、捜査以外のプロットの起伏もないから、「謎解きミステリ好き」以外は楽しめなさそうだけど、「謎解きミステリ」ファンとしては、こういうのが「謎解きミステリ」だよねと思って、好感。
(それにしても、被害者の娘の扱いについては、ドラマ要素の無視がすごすぎて、愕然とする)

No.90 6点 ローマ帽子の秘密- エラリイ・クイーン 2020/06/06 22:42
創元の新訳で再読。初読時よりは楽しめた。
新本格を経た視点で謎解きミステリとしてみると、推理としては1点しかないので、ページの割には小粒だ。(後半の帽子の隠し場所の推理は、推理とはいえないようなものだし)
代わりにページを費やしているのは、捜査の段取りだ。劇場で殺人が発覚し、劇場内に観客を残して捜査が開始される。搜査当夜が終了するのは百ページ台の後半あたり。この捜査の段取りを楽しめないと、本作は楽しめないと思う。
この読み心地は、やはりヴァン・ダインの影響だろう。執筆時期を考えると、参考にしたのは、ベンスン、カナリヤの2作だけではないだろうか。
ヴァン・ダインからの改定点としては、(「プロの警官をそこまで馬鹿に書くのはどうか?」と思ったのか)視点人物を優秀な警官にしていること。そして解決として「読者にも可能な推理」を組み込んだこと。これにより「挑戦状」というスタイルを説得力をもって実現したこと。
評価姿勢としては、「推理が小粒である」ことより「初めて推理を組み込んだ」ことを肯定的に捉えるのが適切と思う。(けど、点数はこんなものかな)
また、「九尾の猫」とつづけて読んだからか、クイーンは最初から街(劇場)を描こうとしていたんだなぁと思った。こういうのも、私はクイーンに好感触をもつところだなと思う。

No.89 9点 九尾の猫- エラリイ・クイーン 2020/06/06 22:15
再読してよかった。傑作。
まずは暴動のシーンがよい。デ・パルマ監督のスローモーションのように描写され、実に印象的。(デ・パルマ監督の有名なシーンは、「アンタッチャブル」の大階段のシーンとか、「ミッション・インポシブル」の大水槽の爆破シーンとか)
暴動前のシーンでは、次のような文章がある。
「だれかれかまわず勝手に警察官の真似をさせるわけにはいかない。これでは無政府状態だよ」「人々が耳を傾けていたのは、内なる恐怖の声だ」
コロナで自粛警察などが騒がれている今、肌感覚としてリアルに感じる。原作は1949年。70年前の小説が、まるで現在の社会を映し出しているようだ。
初読時は戸惑いが大きかった。そのため高い評価ではなかったが、それは謎解きミステリを期待していたのに、別ものだったからだろう。再読では、作風を把握した上で読んだから、実に楽しめた。
これから読む人は、本作を読む前の心持ちとしては、アメリカの私立探偵小説を読むつもりがよいだろう。
エラリーが街を歩きヴェリーと会う部分は、スカダーもののような味わいで、街の雰囲気がよく感じられる。「都会を描く」とはアイリッシュに対してよく使われるが、この作品にも当てはまる。電話が四人に一人しかもっていない時代(!)なのに、都会の雰囲気とは変わらないものだなと思う。
謎解きミステリとしては、ミッシング・リンクの判明する部分などの見せ場はあるが、読者との知恵比べという姿勢はなく、犯人も予想の範囲内ではある。しかし読みどころは動機なのだと思う。ハードボイルドの傑作と同様の「悲劇」としてのドラマだ。
前半の社会的な広がりから、後半はプライベートな視点に切り替わり、悲劇として収斂する。面白かった。
不満点は、エラリイに協力する二人の存在だ。ミステリ的な必要性は理解できるが、作品から少し浮いているように感じられた。
他、思いついたことをいくつか。
作中にも引用されるクリスティの有名作と比べてみると、二人の巨匠の方向性の違いが出ているようで面白い。同じフレームを使って、違うものを見せている。クリスティは、読むものを違う方向に誘導する。クイーンは、読むものが気づかない繋がりを見つける。
北村薫だったと思うが、「十日間」「九尾」「ダブル」「悪の期限」を称して「クイーンのミッシング・リンク四部作」と書いていた記憶があり「なるほどなぁ」と思う。この切り口で色んな人が色々書いてくれたら面白そうなのに。
クリスマスのシーンで「ロックフェラーセンターでは……高さ百フィートのツリー……」とあり、70年前からあったんだぁ。
解説にひとつ文句。「二回分載の切れ目は7章の終わり……」と書き、「クイーンよ、おまえはおしまいだ」以降と書いているが、これは旧訳からの引用で、新訳(少なくとも私の版は)「わが同胞Qよ、おまえはおしまいだ」となっている。校正はどうなってるの?

No.88 5点 ルピナス探偵団の当惑- 津原泰水 2020/05/06 15:55
執筆時期が違うせいだろうが、1.2話と3話ではだいぶレベルが違う。
1話目は「ピザを……」という理由がストンと腑に落ちない。
2話目は全体的にチグハグ。構想は悪くないが、作品の雰囲気(軽いコメディ・タッチ)と、プロット(結構シリアス)が相容れず、そのため「その場でこんな事言うか?」というようなキャラに対する反感などもでてしまう。
3話目は、スムーズに話が進行し、(トリックは強引なところがありながら)真相もよくできている。1、2、3話それぞれ4、4,7点かな。
3話目のできから、続編も読む気にさせられる。

No.87 7点 世界推理短編傑作集5【新版】- アンソロジー(国内編集者) 2020/05/05 00:05
この時代になると、ホームズ風の短編は採用されなく、コリア、アイリッシュ、ブラウンなど、異色作家短編集にもとられる作家が増えてきます。
時代の流れも感じるけれど、私の好みと少し外れてきているのも感じる。
カーは元版の「見知らぬ部屋の犯罪」から「妖魔の森の家」に変更。(元々翻訳権の兼ね合いで「見知らぬ~」だったらしい)
1作選ぶとすれば、やはり「妖魔の森の家」。これはよくできている。(翻訳としては乱歩訳(本当か?)の版が好きですが)
次点で「証拠のかわりに」。ウルフ物は、やはりこの程度の長さが最適。

No.86 8点 世界推理短編傑作集4【新版】- アンソロジー(国内編集者) 2020/05/04 23:58
1930年代にかかり、作品が充実してきたといってよいでしょう。
セイヤーズの作品が一番退屈と思えるラインナップ。
乱歩曰く「奇妙な味」の名編「二壜のソース」「銀の仮面」や、「密室の行者」の豪腕、ハメットの短編まで。
私が読んだアンソロジーでは最強のラインナップですね。
1作選ぶとすれば「信・望・愛」。ミステリとししては変化球で、この中からこれを選ぶ人は少ないと思いますが、これ偏愛している1作なので。

No.85 7点 世界推理短編傑作集3【新版】- アンソロジー(国内編集者) 2020/05/04 23:28
1920年代に入った3巻は、ヴァラエティにとんでいるといえます。
「茶の葉」のようなトリック1本勝負の作から、ヘミングウェイまで。これがミステリの幅の広さだというセレクションがよいです。
1作選ぶとすれば「偶然の審判」です。「偶然の審判」とくれば「毒入りチョコレート事件」との関係ですが、解説で触られているのは、「The Avenging Chance の謎」として真田啓介さんがネットに公開している説の結論を、引き写したものと思えます。「The Avenging Chance の謎」では、1990年代に見つかった中篇版 The Avenging Chance の存在を軸とした、作品毎の差異を手がかりに、実にミステリ的に創作の裏側を推理していきます。「偶然の審判」と「毒入りチョコレート事件」の両作を読んだ謎解きミステリファンには、ぜひ読んでもらいたい傑作です。すごい説得力あり!

No.84 6点 世界推理短編傑作集2【新版】- アンソロジー(国内編集者) 2020/05/04 23:12
元版からは、「放心家組合」が1巻から移動してきて「奇妙な足音」が追加。かわりに「好打」と「窓のふくろう」が抜けています。
「好打」の発表年は、1913から1937に変更。どんだけ違ったんだよ!
作品としては「ホームズの追随者」という感じが強い。ホームズの型を刷新するにはまだ時間がたりなかったのでしょう。
1作選ぶとすれば「オスカー・ブロズキー事件」ですが、訳者が元版から変わっています。読み比べてみましたが、私は元版のほうが好き。ソーンダイク物では最も好きな作品だったのですが、井上勇訳による部分があったのだなぁと実感。

ことはさん
ひとこと
ホームズ生まれの、クイーン育ち。
短編はホームズ、長編は初期クイーンが、私のスタンダードです。
好きな作家
クイーン、島田荘司、法月綸太郎
採点傾向
平均点: 6.56点   採点数: 103件
採点の多い作家(TOP10)
レジナルド・ヒル(16)
エラリイ・クイーン(14)
アンドリュウ・ガーヴ(11)
アガサ・クリスティー(8)
笠井潔(8)
アンソロジー(国内編集者)(5)
マーガレット・ミラー(4)
東野圭吾(4)
アーサー・コナン・ドイル(3)
パトリック・ルエル(3)